ペーパーレス化とは? 導入メリットとデメリットを解説
オフィスで保存する大量の書類を前に、頭を悩ませる方は多いのではないでしょうか。「書類があふれて管理がしづらい」「必要な書類を取り出すまでに時間がかかる」といった悩みを解決する策として、“ペーパーレス化”が挙げられます。
ペーパーレス化によって、書類の管理・処分にかかる労力を減らすとともに、コスト削減といった付加価値にも期待ができます。働き方の多様性や柔軟性が求められるいまの時代に即した施策ともいえます。
そこでこの記事では、ペーパーレス化のメリットやデメリット、実施時のポイントなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.ペーパーレス化とは
- 2.ペーパーレス化のメリット・デメリット
- 2.1.メリット
- 2.1.1.①保存スペースを縮小できる
- 2.1.2.②情報を取り出しやすくなる
- 2.1.3.③コストを削減できる
- 2.1.4.④テレワークやフリーアドレス化を促進できる
- 2.1.5.⑤バックアップ体制を強化できる
- 2.1.6.⑥情報セキュリティが向上する
- 2.1.7.⑦環境保護へ貢献できる
- 2.2.デメリット
- 2.2.1.①管理方法が混在する
- 2.2.2.②導入後のフォローが必要になる
- 2.2.3.③導入コストがかかる
- 3.ペーパーレス化を導入するときのポイント
- 3.1.社内の書類を洗い出す
- 3.2.業務プロセスをルール化する
- 3.3.ペーパーレス化のための環境を整備する
- 4.まとめ
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、これまで紙ベースで管理していた書類を電子化する施策を指します。
ペーパーレス化の効果は紙の消費量を削減するだけではありません。電子化したデータはパソコンやスマートフォンから閲覧・編集できるようになるため、さまざまな業務プロセスの最適化・効率化としても一翼を担います。
▼ペーパーレス化の例
- PDF文書
- 電子書籍
- 電子カタログ
現在では、契約書や帳簿などの重要な書類も電子保存が可能です。ペーパーレス化は政府も推進しており、国税庁では2016年からスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影した書類を電子化することを承認しています。
出典:国税庁『はじめませんか、書類のスキャナ保存!』
ペーパーレス化のメリット・デメリット
企業でペーパーレス化を進める際には、メリットだけでなく、注意しておきたいデメリットについても把握しておくことが大切です。ここでは、ペーパーレス化のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
ペーパーレス化のメリットは、大きく分けて7つです。オフィスに関係する内容からコスト面、環境保護など、さまざまなメリットがありますので、しっかり確認しておきましょう。
①保存スペースを縮小できる
ペーパーレス化により、書類の保存スペースを削減できるメリットがあります。
情報やデータを電子化することで収納棚や家具を削減できるため、オフィススペースの縮小化やスペースの有効活用が可能です。
②情報を取り出しやすくなる
ペーパーレス化を実現すれば業務に必要なデータをすぐに検索できるメリットがあります。タイトルやファイル名、キーワードから容易に検索できます。
紙面をOCR(光学的文字認識)で電子化した場合は、書かれている内容からデータを検索することも可能です。書類やファイルを探す労力・時間を削減し、業務の効率化も図れます。
③コストを削減できる
紙や印刷代などのコストを削減できるほか、書類の郵送手配やファイリングといった人的リソースも削減できます。
④テレワークやフリーアドレス化を促進できる
テレワークやフリーアドレス化の実現にも役立ちます。業務に必要なデータが紙で管理されていると、オフィスにいなければデータを確認できません。
ペーパーレス化を導入すれば、情報をインターネット上で管理・共有することが可能です。クラウド管理システムやツールを活用すると、さらに利便性も高まります。業務上の情報共有や承認のプロセスを短縮できるのはもちろん、テレワークの促進にもつながります。
⑤バックアップ体制を強化できる
ペーパーレス化は企業のBCP(事業継続計画)対策としても有効です。データを紙で保存すると、災害や事故で破損・紛失が起こる可能性があります。
ペーパーレス化でデータを電子化して管理することで、こうしたトラブルからデータを守ることが可能です。また、クラウド環境でデータを管理すれば、自社サーバーやシステムにトラブルがあった場合に、データを完全に損失してしまうリスクも避けられます。
⑥情報セキュリティが向上する
物理的な保存場所を持たないことで情報セキュリティを強化できる点もメリットです。
データや書類をクラウド上や自社サーバー上で管理すると、書類の持ち出しや紛失のリスクを抑えられます。アクセス権限管理やパスワード設定を実施すれば、さらに情報セキュリティの向上も可能です。
⑦環境保護へ貢献できる
ペーパーレス化は環境保護につながります。紙ですべての書類を管理するとなれば、紙の消費量を考える必要があります。
ペーパーレス化で使用する紙の量を減らすことで、森林伐採や廃棄物処理による環境汚染などの対策に貢献できます。
デメリット
一方、メリットと同じくデメリットもありますので企業が導入する際はしっかりその点も把握しておきましょう。
①管理方法が混在する
法律上、書面でのやり取りが定められている書類もあります。
仕事で扱うすべての書類をペーパーレス化できるわけではないため注意が必要です。ペーパーレス化できる書類・できない書類が混在すると管理が複雑になります。
②導入後のフォローが必要になる
ペーパーレス化を行ううえでワーカーの理解や導入後のフォローが不可欠です。
データの管理や使用にかかる業務フローが変わるため、新しい業務フローやシステムの扱いに慣れるまで、スムーズに業務を遂行できない場合があります。
③導入コストがかかる
ペーパーレス化にはインターネット環境やオンラインに保存したデータを閲覧・編集するための端末が必要です。
こうした環境整備にコストがかかるというデメリットがあります。
ペーパーレス化を導入するときのポイント
ペーパーレス化を導入する際、事前準備をしないまま導入してしまうと、混乱してしまうこともあります。ペーパーレス化をスムーズに実施するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
社内の書類を洗い出す
はじめに、社内の書類を洗い出しておくことが重要です。業務内容によっては書面でのやり取りが必要になるケースもあります。業務に必要な書類とその業務内容を明確化し、ペーパーレス化の優先順位を決めましょう。
業務プロセスをルール化する
電子化したデータの提出方法や承認フローなどのルールを社内で明確にしておく必要があります。
ルールが定められていなければ、データ共有や確認がスムーズにできず、やり取りが非効率になります。導入を成功させるためには、システムやツールの使い方を教育し、プロセスをマニュアル化しておくことがポイントです。
ペーパーレス化のための環境を整備する
ペーパーレス化を実施するには環境の整備が必要です。端末やワーカーが自由に活用できるネットワークの構築が不可欠といえます。
たとえば、タブレットの導入や資料をクラウド環境で共有・閲覧できるシステム・ツールを活用するのも一つの方法です。場所を選ばずデータのやり取りや管理が行える環境を整備することは、フレキシブルな働き方の実現にもつながります。
業務上、ペーパーレス化することが難しいという場合はオフィスの導線や収納を見直し、スペースを有効活用するのも一つの方法です。オフィス改善をサポートするサービスを活用する方法も検討してみましょう。
文祥堂が提案する『フロアスペースマネジメント』では、目指したい働き方に合わせたスペースの活用法やオフィスにおける紙・モノのルール・ツール・運用方法をご提案します。保存場所を整理してスペースの無駄を削減することで、すっきりと快適なオフィス空間の実現をお手伝いします。
ペーパーレスの導入から成功までの具体的な方法については、以下の記事もご覧ください。
まとめ
ペーパーレス化には、業務効率化やコスト削減、情報セキュリティの向上など、多くのメリットがあります。書類を保存する場所を削減できるため、オフィス内スペースの有効活用も可能です。
また、紙ベースの管理から電子データでの管理に移行することで、場所にとらわれない多様な働き方の実現にもつながります。オフィスの業務効率化や働き方改革に取り組まれている企業さまは、ペーパーレス化を検討してみてはいかがでしょうか。