効率的な文書管理を行うための方法とルールのつくり方
オフィス業務で発生する文書は、種類によって適切な管理・保存の方法が異なります。
社内で取り扱う文書には、法律で保存が義務付けられている文書もあるため、徹底した管理が求められます。また、近年では文書を電子化してデータでやり取りをするケースも増えてきていることから紙文書と電子文書が混在し、必要な文書の検索に時間がかかっているという声も耳にします。
そこで今回は、文書管理の基本知識から適切に管理するための方法、さらにルール化する際のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.文書管理の基本知識
- 2.適切な文書管理のカギとなるルール化
- 3.文書管理を効率的に行う方法
- 3.1.ペーパーレス化する
- 3.2.文書管理業務をアウトソーシングする
- 4.まとめ
文書管理の基本知識
文書管理とは、社内業務で発生する文書を適切なサイクルで管理することです。社内で使用する文書には、個々で管理する個人文書と企業やチーム全体で管理する共有文書があります。
▼文書管理のサイクル
- 文書の作成・発生
- 処理
- 保管
- 保存
- 廃棄
“保管”する文書には、前年度や今年度の資料など頻繁に使用する文書が含まれます。一方、“保存”が必要な文書として、法律で保存が義務付けられた文書、“法定保存文書”があります。これに該当する文書は保存期間が定められています。
▼主な法定保存文書の保存期間
- 永久保存:定款、株主名簿
- 10年:株主総会議事録、取締役会議事録
- 7年・9年・10年:取引に関する帳簿・書類、給与所得者の源泉徴収関係書類
- 5年:ワーカーの身元保証書、
- 4年:雇用保険の被保険者に関する書類
- 3年:労働者名簿、雇入れ・解雇・退職に関する書類、災害補償に関する書類
- 2年:健康保険・厚生年金保険に関する書類
これらの文書は、定められた期間中は適切な管理のもと保存しなければなりません。
出典:e-Govポータル『会社法』『昭和八年法律第四十二号(身元保証ニ関スル法律)』『雇用保険法施行規則』『労働基準法』『健康保険法施行規則』『厚生年金保険法施行規則』、国税庁『No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法』
適切な文書管理のカギとなるルール化
文書管理を適切に行うには、文書管理の方法をルール化し、社内で共有することが大切です。ワーカーが個々に文書を管理している場合は企業内で取り扱う文書が属人化しやすく、法令の遵守や業務遂行のための情報共有が難しくなります。
管理方法をルール化して明確にすれば、文書管理業務を標準化できます。ここでは、文書管理をルール化する際のポイントを解説します。
文書を洗い出す
はじめに、紙で管理が必要な文書、電子化できる文書を洗い出し、分類します。法定保存文書については保管期間や保管方法を確認しながら行いましょう。
文書を分類する
次に、文書を分類します。文書の分類には、ワリツケ式、ツミアゲ式といった方式を活用できます。
ワリツケ式
ワリツケ式は大分類⇒中分類⇒小分類といったトップダウンで分類する方式です。共通文書の分類に適しています。
文書管理者が定めた分類方法に沿って各部署が文書を分類していくため、分類の基準が全体で統一され、情報共有をスムーズにできるのが特徴です。ただし、分類を進めるなかで、分類に当てはまらない文書が出てくる可能性があります。
ツミアゲ式
ツミアゲ式は小分類⇒中分類⇒大分類といったボトムアップで分類する方式です。各部署の業務から発生する固有文書の分類に適しています。
実務にあたるワーカーが現場のニーズを踏まえて分類を行うため、文書の分類と実務がマッチしやすいのが特徴です。その一方で、部署を超えた情報共有が難しい側面があります。
管理方法を定める
最後に、文書の分類ができたら、管理方法を定めます。紙文書を適切に管理する方法には、以下のような方法も有効です。
- 文書の種類に応じてファイルやボックスを活用する
- 機密文書を保管・保存できる専用スペースを確保する
- スムーズに文書を共有できるよう、保管場所を統一する
誰が見ても文書の内容や保管場所を把握できるよう、文書の分類や名前の付け方、保管場所、保管期間などをルール化することがポイントです。また、欲しい情報をすぐに検索できるように適切な管理を行うことで業務効率化に役立ちます。
文書管理を効率的に行う方法
文書管理を適切かつ効率的に行うためには、ルール化に加えて以下の方法を採用することもおすすめです。
ペーパーレス化する
1つ目は、ペーパーレス化することです。ペーパーレスとはビジネスシーンで使用される文書を電子化して、紙の使用を減らす・なくすことを指します。
紙での管理は、文書の印刷や保管場所などにコストがかかるほか、必要な文書を探す時間・労力も必要です。また、湿気や自然災害によって文書が劣化・破損する可能性も考えられます。紙で保存が必要な文書以外は、ペーパーレス化を検討しましょう。
▼ペーパーレス化によって得られる効果例
- 情報検索や共有がスムーズになる
- 保存状況や火災などにより劣化・紛失する恐れがない
- 業務に必要な書類を電子化することで、処理までのプロセスを短縮できる
- 文書管理の効率化につながる
- テレワークやフリーアドレスの導入を後押しできる
ペーパーレス化の実現には、インターネット環境の整備やシステム・ツールの活用が必要です。業務フローやシステムの操作方法などを事前に体系化して共有することで、ペーパーレス化への移行がスムーズになります。
ペーパーレス化を成功させるための方法については、以下も参考にしてください。
文書管理業務をアウトソーシングする
2つ目は、文書管理を外部にアウトソーシングする方法です。文書の処理や保管、廃棄などの作業を代行してもらえるため、社内での仕分けやファイリングを行う必要がありません。
また、安全なセキュリティ環境で保管・保存・廃棄ができるのもメリットといえます。膨大な量の文書を自社管理することが難しい場合は継続的なコストを踏まえて活用を検討してみてはいかがでしょうか。
ほかにも、紙文書の管理を見直し、スペースの無駄を削減することでオフィスをより快適な空間にするサービスもあります。文祥堂が提案する文書管理とオフィス空間の提案を組み合わせた『フロアスペースマネジメント』については、以下をご覧ください。
まとめ
オフィス内で取り扱う文書を正しく保管するためには、保管方法や保管場所を統一してルール化し、社内で共有することが重要です。
そのためには社内にどのような文書があるのかを洗い出し、それぞれの管理方法を明確にします。業務で発生する文書には、法律で保存期間が定められている文書もあるため、注意が必要です。
また、自社で対応が難しい場合には、外部サービスを活用するのも一つの方法です。「紙文書の管理が煩雑化している」「ペーパーレス化を進めるにあたって文書の管理方法を見直したい」という場合は、『フロアスペースマネジメント』の活用もご検討ください。