ペーパーレス化導入の課題とは? 成功に導く3つの方法
ペーパーレス化とは、業務で使用する書類や帳票をできるだけ電子化し、紙での管理を減らす施策です。パソコンやスマートフォンなどの端末からデータを管理できるため、業務の簡略化や効率化が期待されています。
しかし、「紙ベースでの業務に慣れていて抵抗がある」「導入のメリットを感じられない」などの理由から、なかなかペーパーレス化に踏み出せないといった声もあります。
そこで、この記事ではペーパーレス化の導入課題、さらに効果的に運用していくための3つの方法について解説します。
出典:総務省『テレワーク、ペーパーレス化の取組状況』
目次[非表示]
- 1.なぜ必要? ペーパーレス化推進の背景
- 1.1.働き方改革の実現
- 1.2.電子帳簿保存法の改正
- 1.3.テレワークの普及
- 1.4.エコに向けた取り組みの促進
- 2.ペーパーレス化の導入課題
- 2.1.業務の進め方を変えることに抵抗がある
- 2.2.紙でのやり取りを求められる
- 2.3.IT化が遅れている
- 2.4.オペレーションの移行が負担になる
- 3.ペーパーレス化を成功に導くための3つの方法
- 3.1.①ペーパーレス化を段階的に推進していく
- 3.2.②システム・ツールを活用する
- 3.3.③ペーパーレス化の目的や重要性を理解してもらう
- 4.まとめ
なぜ必要? ペーパーレス化推進の背景
企業のペーパーレス化が進む背景には、社会や働き方の変化が関係しています。主な理由として以下が挙げられます。
働き方改革の実現
長時間労働や人手不足といった労働環境の課題を解消し、多様な働き方を実現するために、政府は“働き方改革”を推進しています。企業に対しては、働き方改革の実現に向けて労働環境の改善や生産性の向上が求められています。
生産性を損なう原因の一つとして挙げられるのが、印刷作業や書類のファイリング、郵送など紙を使うことによって発生する業務です。これらをペーパーレス化すれば、作業を効率化できます。電子化したデータはWeb上で管理や情報共有ができることから、場所を選ばない働き方の実現にもつながります。
出典:厚生労働省『「働き方改革」の実現に向けて』
電子帳簿保存法の改正
契約書や領収書などを電子化して保存することを定めた“電子帳簿保存法”の改正も、ペーパーレス化が推進される理由の一つです。
現在では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した書類の保存も認められています。税法で保存が義務付けられている書類の一部の電子化が認められたことで担当者の負担を軽減し、業務効率が向上します。
出典:国税庁『はじめませんか、書類のスキャナ保存!』
テレワークの普及
新型コロナウイルス感染症の対策として、さまざまな企業で取り組まれているテレワークも、ペーパーレス化が推進される理由に挙げられます。
ペーパーレス化で、出社しなければ閲覧できないデータをなくすことで、自宅でもスムーズに業務を行うことが可能になります。
出典:『令和2年版 情報通信白書』
エコに向けた取り組みの促進
近年、世界的に地球環境保護に向けた取り組みが推進されています。世界の共通目標として掲げられたSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)においても、環境負荷の軽減が挙げられています。
世界的に環境への意識が高まるなか、環境に配慮した事業活動はこれからの企業に必要な取り組みです。ペーパーレス化で紙の消費を減らすことで、森林資源の保護や生態系の維持につながります。
出典:外務省『SDGsとは?』
ペーパーレス化の導入課題
働き方改革の推進や環境保護への取り組みからペーパーレス化を進めようとしている企業は少なくありません。ペーパーレス化の導入をスムーズに進めるためには課題を把握しておくことも必要です。
業務の進め方を変えることに抵抗がある
業務の進め方や慣習が根付いている場合、それらを変えるのは容易ではありません。場合によってはワーカーから理解が得られないことがあります。
特に年配者やパソコンの扱いに自信がないワーカーは、電子化に対して心理的な抵抗を持つ方もいます。このようにワーカーの意識の面からペーパーレス化に踏み切れない企業もあります。
紙でのやり取りを求められる
法令により、電子文書による取引が認められていない書類もあります。たとえば、不動産の売買・賃貸契約などは書面での交付が必要になるため、ペーパーレス化することはできません。
また、ペーパーレス化できる案件でも取引先から紙でのやり取りを要求されるケースもあります。取引先や顧客との擦り合わせが必要になるため、自社のみで導入を判断することが難しいという側面もあります。
IT化が遅れている
ペーパーレス化の実現には、インターネット環境の整備やセキュリティ対策が必須です。
しかし、企業によってはパソコンやセキュリティシステムなどが十分ではなかったり、クラウド環境が整っていなかったりする場合があります。オフィスのIT化にかかるコストや時間を懸念して、ペーパーレス化に踏み切れない企業もあります。
オペレーションの移行が負担になる
ペーパーレス化に伴い、業務のオペレーションに変更が生じます。
システムの利用方法を教育するともに、業務フローの見直しも欠かせません。システムの操作方法やITリテラシーの教育のために時間や労力を要するといった課題もあります。
ペーパーレス化を成功に導くための3つの方法
ペーパーレス化の導入で直面する課題を解決し、運用を成功に導くための3つの方法をご紹介します。
①ペーパーレス化を段階的に推進していく
すべての業務を一度にペーパーレス化すると、社内で混乱が起きる可能性があります。ペーパーレス化を進める際は一部の業務や部署などから段階的に移行することが望ましいといえます。
実践のなかで表れた効果や課題を踏まえて、問題を解決しながら徐々に規模を広げていくのがポイントです。業務でインターネットやパソコンを使用しないワーカーが多い部署やチームでは、ペーパーレス化に慣れてもらうために、簡単な業務から徐々に移行しましょう。
②システム・ツールを活用する
ペーパーレス化を後押しするためには、システムやツールの活用も有効です。
▼システム・ツールの例
- オンラインストレージ
- クラウド管理システム
- 文書管理システム
- ペーパーレス会議システム
システムやツールを活用すること、ペーパーレス化したデータの共有や保管、検索などがスムーズに行えます。システムやツールをうまく活用するためには、事前にマニュアルを作成し、社内研修やテストを実施して業務フローを理解してもらうことも大切です。
システム導入や運用に不安がある場合は、オフィスレイアウトを改善する外部サポートを活用するという方法もあります。文祥堂では、オフィスに散在している書類や文書を管理し、オフィス空間を有効活用するためのサービス『フロアスペースマネジメント』を提供しています。こちらのサービスについてもぜひご確認ください。
③ペーパーレス化の目的や重要性を理解してもらう
ワーカーの不満やストレスをできるだけ抑えながら導入するためには、ペーパーレス化する目的や重要性を理解してもらうことが重要です。
▼ペーパーレス化の目的例
- テレワークを導入するためにペーパーレス化を実施する
- 固定席をなくし、フリーアドレスを導入するためにペーパーレス化を実施
ペーパーレス化によって柔軟な働き方が可能になることで、ワーカーも導入メリットを感じやすくなります。作業効率の向上をはじめ、モチベーションや満足度の向上などの効果も期待できます。
まとめ
働き方改革やテレワークの促進により、ペーパーレス化の必要性が高まっています。一方で、紙ベースでの業務進行やデータ管理などを実施している企業、IT環境の整備が進んでいない企業にとっては、ペーパーレス化導入のハードルがやや高いといった課題もあります。
こうした課題を抱える企業は、一部の業務や部署から段階的にペーパーレス化を進めることやペーパーレス化に役立つシステム・ツールを利用するといった方法を取り入れてみましょう。
今後、ペーパーレス化が加速すれば、従来のオフィススペースの見直しが必要となる場合もあります。このような場合に備え、ペーパーレス化と並行してオフィスのレイアウト改善を検討してはいかがでしょうか。専門的な知識に基づいたフロアスペースマネジメントを実施すれば、オフィス空間の有効活用が可能になります。