ウェルビーイングの実現につながるオフィス環境づくりとは
ストレス社会といわれる現代において、1日の多くの時間を過ごすオフィスには、ワーカーにとって快適で健やかに過ごせる環境の整備が求められます。
厚生労働省の『令和元年版 労働経済の分析』によると、職場における働きやすさの満足感を「いつも感じる」「よく感じる」と答えた人は、男女ともに約4割に留まっています。
画像引用元:厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析』
そうしたなか、快適で働きやすいオフィス環境づくりに向けて、心身の健康や幸福を意味する“ウェルビーイング”が注目されています。
本記事では、ビジネスシーンでウェルビーイングの注目が高まる理由とともに、ウェルビーイングを向上させるオフィス環境づくりについて解説します。
出典:厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析』
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ウェルビーイングとは
ウェルビーイングには、“健康”“幸福”といった意味があり、心身ともに健康で社会的にも満たされた状態を指します。
ウェルビーイングという概念は、医療や社会福祉の分野で用いられてきましたが、現在はビジネスシーンにおいても広く使われています。個人の心身が健康・良好であることが、企業とワーカーの双方にとってよりよい影響をもたらすと考えられていることが理由です。
特に、1日の時間の多くを過ごすオフィスは、ワーカーの健康や幸福を指すウェルビーイングと深いつながりがあるといわれています。
ウェルビーイングは5つの要素で構成されています。詳しくは、こちらの記事をご確認ください。
ウェルビーイングがビジネスシーンで注目される理由
ウェルビーイングがビジネスシーンで注目される理由として、働き方改革の推進やSDGsとの親和性の高さ、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大を契機とした健康意識の高まりなどが挙げられます。
2019年4月からスタートした働き方改革では、目標の一つに“多様なワーク・ライフ・バランスの実現”が掲げられています。働き過ぎを防いでワーカーの健康を守ること、それぞれの事情に合った自律的・創造的な働き方に対応することは、ウェルビーイングの向上にも貢献すると考えられます。
また、2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)においても、17のゴールのうち、ワーカーの健康や幸福に関する内容が挙げられています。企業としてワーカーのウェルビーイングの向上に取り組むことは、SDGs達成に向けた施策の一環となり、持続可能な社会の実現に寄与することにつながります。
さらに、コロナの感染拡大に伴い、オフィスでの感染対策やテレワーク環境での健康管理など、オフィスで働くワーカー、テレワーク中のワーカーの双方とって、健康的で働きやすい環境づくりが求められています。
このように、ウェルビーイングの向上を実現することは、ワーク・ライフ・バランスの実現、SDGsへの貢献、コロナ対策にもつながると考えられます。
出典:厚生労働省『働き方改革』『雇用政策研究会報告書(案)』/外務省『SDGsとは?』『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』
ウェルビーイングを向上させるオフィス環境づくり
オフィスにおけるウェルビーイングを向上させるためには、物理的な環境の快適性はもちろんのこと、ワーカー同士のつながりやリフレッシュ促進、仕事へのモチベーション向上も重要です。
ここからは、ワーカーの働きやすさや心身の健康につながるオフィス環境づくりについて紹介します。
コラボレーションを生むミーティングエリア
部署・チームを超えたコラボレーションを生み出すミーティングエリアは、ワーカー同士のつながりによってウェルビーイングを高めるのに役立ちます。
具体的なアイデアの一つに、ソファ席やテーブル席、テントなど、多彩な座席を設けて、カジュアルなミーティングを行えるスペースの設置が挙げられます。
オフィスの堅苦しい雰囲気を排除してワーカーがリラックスできるような空間をつくりあげることで、周囲との自然なコミュニケーションが生まれやすくなるほか、新たなアイデアの創出につながる可能性も期待できます。
リフレッシュを促すくつろぎスペース
ワーカーのモチベーションを高めて、パフォーマンスを最大限に引き出すには、適度なリフレッシュが欠かせません。
仕事場から離れてくつろげるスペースを設けることで、ワーカーのリフレッシュやストレス緩和を促して、ウェルビーイングの向上へとつなげられます。
たとえば、暖色系の落ち着いた照明の使用や1人用のゆったりとしたチェアやソファの設置など、人が行き交う執務エリアやミーティングエリアから離れて、ワーカーが静かにくつろげるスペースを設けるのもアイデアの一つです。
多様性を備えたフリーエリア
業務内容に合わせて自由に活用できるフリーエリアがあることも、ウェルビーイングを向上させるオフィス環境づくりのポイントです。
たとえば、形状・高さの異なるデスクを配置した開放的な空間は、社内外の人とのクリエーションやプレゼンを行うエリアとして活用できます。人と人とのつながりを創出して、自然な発想を広げられることは、ワーカーのモチベーションや幸福度の向上にもつながると期待できます。
アウトドア風の空間や“個”になれる空間、ジャングルジムの設置などによって、従来の発想に捉われないオフィス環境づくりを実現している企業もあります。詳しくは、ぜひこちらをご覧ください。
まとめ
この記事では、ウェルビーイングについて以下の内容を解説しました。
- ウェルビーイングとは何か
- ウェルビーイングがビジネスシーンで注目される理由
- ウェルビーイングを向上させるオフィス環境づくり
心と体の健康や幸福を意味するウェルビーイングを実現することは、企業とワーカーの双方によい効果をもたらすことが期待できます。また、企業がウェルビーイングの向上に取り組むことは、働き方改革の推進やSDGsへの貢献、コロナ対策にもつながると考えられます。
さらに、ワーカーが1日の多くを過ごすオフィス環境を見直し、改善することは、ワーカーのウェルビーイングの向上に役立つといえます。
オフィス環境づくりを通してウェルビーイングを向上させるためには、人と人とのつながりを生みやすい空間やリフレッシュしやすいスペース、目的に応じて使い分けできる場所の設置などにより、ワーカーのモチベーションの向上につながる環境づくりを行うことがポイントです。
企業のオフィス環境を見直す際は、ウェルビーイングにも着目してみてはいかがでしょうか。