いつもの環境から離れることが“いつもと違う”アイデアのきっかけに〈インタビュー〉



株式会社ディー・サイン 取締役 今村 剛 氏 


「ハタラくをドライブさせる。」というミッションを掲げ、時代の変化を敏感に捉えながら、新しいワークプレイス・ワークスタイルをデザインし続けている株式会社ディー・サイン様。ハイブリッドワークに早くから取り組まれ、自社のミーティングでも様々な工夫をされています。

その取締役である今村様より、経営の視点から、ワーケーションについての考え方や新しいアイデアを考えるときの「場」の重要性について、小田原のWorkcation House U(以下:U)でお話しを伺いました。


→Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)について





“場” “仕組み” “人” 3つの軸で「ハタラくをドライブさせる。」


――まずは株式会社ディー・サイン様について伺えますでしょうか?


DE-SIGNグループには3つの事業会社がありますが、グループとして「ハタラくをドライブさせる。」というミッションを掲げています。

「ハタラく」が漢字の「働く」でなくカタカナなのは、オフィスで毎日出社して働く、という旧態依然としたワークスタイルの印象から、新しい概念としての「ハタラく」を表現するためです。


私たちはコロナ以前から「働く」という概念が変わってきているなと感じていましたが、さらにコロナ禍を経て多くの企業や経営者もそれに気づき始めました。「ハタラく」は住む/学ぶ/遊ぶとマージ(融合)してきています。


ワークプレイスやワークスタイルをずっとデザインしてきた私たちとしては、“場” “仕組み” “人”の3つの軸でワークプレイスやそこでハタラく人々を「ドライブ」させ、その変化に対応していきたいと考えています。






“ワーケーション”は日本の企業にとってハードルが高い?


――ディー・サイン様はワーケーションにかなり早い時期から取り組まれていますよね?


そうですね。ワーケーションは自社の働き方として採り入れていたというよりは、体験としてのハードルを下げたワーケーションイベントを他企業とコラボレーションして開催したりしてました。


ただ個人的な意見としては、ワーケーション自体が日本人には合ってないと思うんですよ(笑)。なぜかというと、日本人は真面目で心配性なので、リゾートで遊ぶ・レジャーしながら働くことに対してのうしろめたさが感情として出てきて切り替えがうまくできないのではないかと思うからです。


例えば、オフィス空間でいうと、“パワーナップ”といって、眠い時に15分寝ることでパフォーマンスが上がることは色々な研究で良い行動とされていますが、そういう空間を作っても、「オフィスで寝るのは」「上司がいるのに寝るのは」などと考えて、なかなか使われない。


それと同じで、ワーケーションについても「働いている時間なのにこんなところにいていいのか」などと考えてしまう。“ワーカーが心地の良い場所で、バケーションしながら働く”というのがワーケーションの本質ですが、日本人に心配性で真面目な気質がある以上、日常業務の中に受け入れるのはまだハードルが高いでしょう。


そのため、まずはイベントとしてワーケーションの場に行って、企業同士・社員同士のコミュニケーションの場を設けつつ仕事もする、という機会をつくるところから始めるのが良いと思います。

やりたいと思っていても、なかなか行動に移せない人たちが多いと思うので、きっかけとして、チームビルディング・交流といった目的で利用するのが良いのではないでしょうか。


“イベント” “グループ”での利用というのが、初めの機会創出という点では良いと思います。



“会議室” で会議やアイデア出しするのをやめてみる


――確かにUでもイベントやオフサイトミーティングをきっかけとしてご利用いただくことが多いです。


ワーケーションの社内的な説明で「何のためにここでやるの?」というのがハードルとして言われることが多いですが、本質的にはいつもと違う場所、違う空気の中で会議をすることによって非日常環境がポテンシャルを引き出す期待を持つことだと思います。


例えばチームビルディングとか、事業計画のアイデアを皆で出し合って盛り上げていくような時って、Face to Face じゃないと絶対にできない。さらにこの U の雰囲気が人と人との関係性を緩和してくれるので、距離感を近づけることができると思います。インターナル(社内)でもエクスターナル(社外/お客様)でもそれは同じです。


でもワーケーションって言葉が出てくる前から、そういうことをやっている人はやっているんだと思いますよ。

以前自分がトライしてみて面白かったのは、「日の出桟橋集合ね」とだけ言って、集合したらフェリーに乗り、浅草まで約30分なんですけど、そのフェリーの中で打ち合わせをする(笑)。

そういう「非日常」っていう要素って、めちゃくちゃ脳にもいいと思うので。
杓子定規に“会議室”で会議する・アイデアを出し合うみたいなことは、僕はもうやらないなと思っています。




いつもの環境をたまに変えて“ルーティンから離れる”ことが大事


―― “いつもと違う”ことによる「刺激」が重要ということでしょうか?


そうですね。普段やっている会議室と同じ状況では、同じものしか出てこない。
例えば会議室で懇親会をするのと、ここ(U)でするというのは全く違うじゃないですか。圧倒的な「場の力」がここにはあると思うので。


最初にUを外から見たときに「めっちゃいいな!」と思いました。もともと役所の支所だったということで、名残のあるカウンターや建物なども、この土地で育ってきた「場の力」を感じられる。

それと“海”が圧倒的じゃないですか。あの雄大な海が何事にも替えられない大きな特徴で、反対側は山に囲まれているっていうのも特別ですよね。すごくいい場所に作っていると思います。



もちろん車で行くなら、こういう自然の中のロケーションって他にも色々あると思うのですが、東京から電車で来られて、しかも駅から徒歩3分で大自然というのは、なかなか無いと思います。
 
もちろん普通の会議室も、それはそれでいいと思うんです、普段は。
大事なのは、たまには“いつもと違う”ことをする ということ。例えばこのUみたいな環境が日常だったら、逆のことが起こると思うんです。

自然に囲まれてゆったりとした環境に日常的にいたら「ちょっとコンクリートジャングルに行ってくる!」となるかもしれません。それは色んなワーケーション施設だけではなく、オフィス以外の非日常的な場所もそうだと思います。
 
つまり、新しいことを考えるときに重要なのは、いつもの環境をたまに変えて“ルーティンから離れる”ということだと思いますね。







Workcation House Uについて

役所の旧支所である

築70年の木造建築をリニューアルした

海の見えるワーケーションハウス

Workcation House U 公式Webサイト
https://u-odawara.com/




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