「裸足になりたい」感覚を大切にすることがインスピレーションにつながる〈インタビュー〉
エール株式会社 代表取締役 櫻井 将 氏
「 “聴き合う” 組織を作る」というミッションで、独自のオンライン1on1の事業を展開するエール株式会社様。どの企業も抱えるコミュニケーションの課題に対し、社外人材を活用する新しいプラットフォームを提案されています。
代表取締役である櫻井様より、普段の働き方や、非日常ワーク・オフサイトミーティングで小田原のワーケーションハウス(Workcation House U※以下U)を利用したご感想について伺いました。
→Workcation House U(ワーケーションハウス ユー)について
世の中のコミュニケーションの構造を効率的・効果的に変えていく
――まずはエール株式会社様について伺えますか?
私たちは社外人材によるオンラインの1on1のサービスを提供している会社です。
近年、どの企業もコミュニケーションに課題を抱えています。終身雇用や年功序列の時代には、一つの会社にずっと勤めることが大前提だったので、上司の理不尽さもきついことも受け入れてやってきました。
その時代が終わり、パワハラやハラスメント、メンタルヘルスの問題の問題が増えて、どう社員とコミュニケーションを取るべきなのか、悩んでいる。さらにコロナ禍でリモートワークが増えて、チーム作りも難しい。
そういう状況で、社内だけで解決するのは限界が来ているのかなと感じました。特に、自分のキャリアを考え、自分の人生について棚卸することがすごく大事になってきている中で、自分の上司にそれが相談できるかと言ったら、難しい。
そのためエールでは、社外の人がサポートできるサービスを提供しています。
私たちの「サポーター」という、外部の「話を聴く人」が3000人ほど登録されています。例えばA社の中でキャリアや人生について考えたい社員がいるけれど、その「上司」が話を聴くのが構造的に難しい。それは上司の能力の話ではなくて、「上司⇔部下」という関係性上、難しいんです。
そこで、A社の中で上司が話を聴くのが構造的に難しいのであれば、B社の社員が聴いたらうまくいく。その代わり、このA社の上司は、C社の社員の話を聴けばいいんじゃない、というプラットフォームを作っています。
サービスとしてはオンライン1on1を提供しているんですが、世の中のコミュニケーションの構造を効率的・効果的に変えていくというコンセプトがあります。
――櫻井さんについて教えていただけますか?
私はエールの代表取締役です。
会社としては正社員が20名ぐらいで業務委託が50名という規模なので、代表といってもどんと座って意思決定だけしていれば良い訳ではないので、現場に出て登壇したり営業したりもしています。
ここ10年ほど「話を聴く」ということにずっと向き合ってきているので、そのことを本として出版したり、どう話を聴くのかということを「サポーター」という「話を聴きたい」と言っている人たちに伝えたりしています。
櫻井 氏の書籍『まず、ちゃんと聴く。』
移動することで“切り替わる”
――普段はどのようなところで仕事をされていますか?
東京にいるのが、まず週1.5~2日ほど。あとは家が残りの時間の半分くらい。あとの半分は、フラフラしながら、その日行きたいところに行っています。小田原にあるカフェや他のコワーキングでも仕事をしています。
僕自身も1on1を社内メンバーとすることがあるので、画面をオフにして音声だけで、携帯でイヤホンしながら海まで歩いて行って、海に足をつけながら話したりします。
ただ、僕の中では「移動する」ことで切り替わるというのが結構大事で。自宅から出て、東海道線に乗って、早川のトンネルを抜けて景色が変わる。この「移動」をすることで、モードが切り替わる、無理やり切り替えられちゃうというのはUの魅力であると思っています。多分、東京から来る人だったらもっと感じると思うんです。
最初にUに来たのは、イベントでマルシェを開催していたときでした。
根府川駅に初めて降りて、あの階段を上った時に見える窓からの景色で「うわ、すごいな」と思って、それがやっぱり切り替わるきっかけになる。だから、切り替えて仕事をしたい瞬間やタイミング、そういう作業があるときは、やっぱり意図的にここに来ます。
あとUの魅力として「都心との距離感の近さ」がとても大きいと思っています。
「日常から外れる」というのがオフサイトの基本的な条件だと思うのですが、ここは「日常」から意識も環境も外れられるけど、「都心から近い」という。このバランスがいい。
実は僕自身、1年半前に小田原に移住したのですが、はじめは都心から遠すぎるので選択肢になかったんです。ただ実際に足をのばした時に、「新幹線があるな」ということにやっと気づいたんですよ(笑)。
ほかに藤沢・茅ヶ崎・逗子や鎌倉もありますが、新幹線があるんだったら品川までは小田原の方が時間的にはよっぽど近いじゃないですか。
例えば、会社で合宿をやる時に、色々な選択肢の中から合宿施設やホテルを選んだりするんですけど、三浦や逗子でやるんだったら、小田原のUは提案しやすい場所だと思います。
考え事がはかどる、静かな環境
――何度か宿泊もご利用いただいていますね。
そうですね。
2023年10月に『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』という本を出させていただいたのですが、執筆する前後で宿泊利用させてもらいUをだいぶ利用させて頂きました。
朝はスタッフの方もいなくて本当に静かなので、朝4時に起きて9時くらいまで集中して作業ができて、すごく良かったです。執筆をする方は少ないかもしれないですが、ちょっと思考を切り替えて、仕事に集中したり、考え事したりするにはすごくいい空間だなと思います。
私の場合、1泊だと移動時間などで執筆できる時間が夜・朝しかないんですが、2泊すると間が丸1日使えるので集中して作業できました。朝からワークスペースを使えるので、翌日宿泊のチェックアウトした後も1日ここで作業することもできるのが良いですね。
他のホテルや旅館だと、1泊の場合、午後にチェックインして寝るまでの数時間と朝起きてからの数時間しかない。その前後の時間をどうしようかなと考えると、別にカフェでもいいんじゃない?と思ってしまう。なので、1泊でも十分時間が使えるというのは本当に良いです。
“身体の感覚”がインスピレーションにつながる
――エール様の合宿でもご利用いただきましたね。
合宿の時に印象的だったんですが、2階に来て皆が一番はじめにしたのが「裸足になる」ことだったんですよ。
空間の雰囲気から、「もうここでは裸足でしょ」っていう感覚があって。普段は靴ばきで利用する場所だと思うんですが、みんな気にせずに裸足で歩いていました。
合宿の時、裸足になりたいとか、床に座りたいとか、胡坐かきたいという人、うちの会社には結構多くて。ちゃんとしたミーティングじゃないミーティングというか。そういうことができる環境ってすごく大事だなと思います。
例えば、今はここに座っていたいけど、ちょっと向こうで胡坐をかきたい、というときに畳がある。だからといって空間が区切られていない。
そういう風に、歩き回りするとか、自分が好きな場所に好きな体勢で、好きな状態でいられるっていうのがうちのミーティングには大事なので、それができるというのは大きかったですね。
他のホテルや宿泊施設だと、やはり机に椅子という設えのところが多いので床に座るってことはできないし、裸足になるのも抵抗ありますね。このリアルな無垢の木の肌を足で感じられるというのはすごい。
僕はこの「裸足になりたい」って感覚って結構重要だと思っていて。
オフサイトのミーティングをやる時、思考的なものだけではなく、気持ちや感情の部分を出せるようにするという点が重要だと思います。それに加えてさらにもっと深い、“感性”みたいなものを引き起こすところって、やっぱり身体感覚から来ると思っています。
裸足になって木に直接触れることがインスピレーションにつながる。そういうことを、自然とみんなができる空気感がここにはある。
歩いている時の木の音や、外の自然環境や鳥の声。そういうものが感性や感覚を勝手に呼び起こしてくれる環境がUにはあるなと感じますね。
Workcation House Uについて
役所の旧支所である
築70年の木造建築をリニューアルした
海の見えるワーケーションハウス
Workcation House U 公式Webサイト
https://u-odawara.com/