202205_06_ウェルビーイングの5つの要素とは? 注目される背景と取り組むメリットについて解説

ウェルビーイングの5つの要素とは? 注目される背景と取り組むメリットについて解説

企業経営における生産性向上や人材確保などは、ワーカーの心と体の健康が深く関係すると考えられています。そこで近年注目されているのが、“Well-being(ウェルビーイング)”という新たな概念です。

ウェルビーイングとは、直訳すると“健康”“幸福”という意味があり、“肉体的・精神的・社会的にも満たされた健康な状態にあること”を指す概念です。

世界保健機関(World Health Organization:WHO)の憲章前文で、“Well-being”という単語が使われていることから、ウェルビーイングの定義として用いられています。


▼世界保健機関憲章前文(日本WHO協会仮訳)(一部抜粋)

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

引用元:公益社団法人日本WHO協会『世界保健機関(WHO)憲章とは


ウェルビーイングを実現することで、心身の健康や社会的なつながりにおいて満たされた状態をつくり、企業とワーカーの双方にとってプラスに働くと考えられています。

そこでこの記事では、ウェルビーイングを構成する5つの要素をはじめ、注目されている背景や取り組むメリット、オフィス環境の改善方法について解説します。

出典:公益社団法人日本WHO協会『世界保健機関(WHO)憲章とは


目次[非表示]

  1. 1.ウェルビーイングの5つの要素
  2. 2.企業においてウェルビーイングが注目される背景
    1. 2.1.働き方改革の推進
    2. 2.2.人手不足
    3. 2.3.健康経営への意識の高まり
  3. 3.ウェルビーイングの実現に取り組むメリット
    1. 3.1.人材の定着率向上
    2. 3.2.優秀な人材の確保
    3. 3.3.生産性の向上
  4. 4.ウェルビーイングの実現に向けたオフィス環境の改善
  5. 5.まとめ


ウェルビーイングの5つの要素

ウェルビーイングの概念は5つの要素で構成されています。ウェルビーイングに関する調査を行った、米国ギャラップ社が定義した5つの構成要素は以下のとおりです。


▼ウェルビーイングの構成要素


種類
概要
Career Well-being(キャリア ウェルビーイング)
  • 人生・生き方に関する幸福のこと
  • 仕事・育児・趣味・ボランティア活動などで幸福を構築していることを指す
Social Well-being(ソーシャル ウェルビーイング)
  • 人間関係における幸福のこと
  • 人と人とのつながりを持ち、信頼や愛情のある関係性を築くことを指す
Financial Well-being(ファイナンシャル ウェルビーイング)
  • 経済的な幸福のこと
  • 仕事での報酬に満足していること、資産を自己管理していることを指す
Physical Well-being(フィジカル ウェルビーイング)
  • 身体的な幸福のこと
  • 心身ともに健康で、ポジティブな感情を持って快活な生活を送れていることを指す
Community Well-being(コミュニティ ウェルビーイング)
  • 家族や地域、身近な人に関する幸福のこと
  • 家族・親戚・友人・職場(同僚や上司・部署)などで、良好なコミュニティを形成していることを指す


このように、それぞれの要素が満たされることで、人は健康で幸福な状態であるといえます。



企業においてウェルビーイングが注目される背景

企業においてウェルビーイングが注目されている背景には、働き方の推進や人手不足、健康経営への意識の高まりなどが挙げられます。


働き方改革の推進

ワーカーが個々の事情に合わせて、多様な働き方を選択できる社会とワーク・ライフ・バランスを実現するために、2019年4月から働き方改革の推進が行われています。

働き方改革の具体的な取組みとして、長時間労働の改善や公正な待遇の確保などが挙げられます。

このような働きやすい環境・制度を整備することは、心身の健康を意味するウェルビーイングの実現にもつながります。


人手不足

人材確保や人材流出の防止のために、ワーカーの幸福度を高めるウェルビーイングの実現に向けた取組みが求められています。

日本では、2013年以降企業の人手不足が課題となっています。企業が人材を確保していく、または人材の流出を防ぐには、魅力的な労働環境を構築することが重要です。

ウェルビーイングの実現は、働きやすい職場環境の構築にも貢献するため、人材確保や人材流出の防止のためにも有効と考えられます。


健康経営への意識の高まり

ウェルビーイングが注目される背景の一つに、“健康経営”への意識の高まりが挙げられます。

ワーカーに心身の不調があると、生産性を低下させることが明らかになっています。人手不足が今後も進むと予測されるなか、限られた人材を活用していくには、生産性の向上やワーカーの活力向上が欠かせません。

こうした背景を踏まえて、政府は健康経営に取り組む企業の顕彰制度を設けており、健康促進に向けた取組みを推進しています。また、国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)においても、“すべての人に健康と福祉を”といった目標が掲げられています。

つまり、ウェルビーイングの実現に向けた取組みは、健康経営の促進、ひいてはSDGsの目標達成にも貢献すると考えられます。



ウェルビーイングの実現に取り組むメリット

ウェルビーイングの実現に取り組むことは、ワーカーと企業の双方にとってさまざまなメリットをもたらします。ここでは、ウェルビーイングの実現によって期待できるメリットについて解説します。


人材の定着率向上

ウェルビーイングを実現させることは、人材の定着率向上につながります。

前述したように、ウェルビーイングへの取組みは、働き方改革の推進につながり、多様な働き方やワーク・ライフ・バランスの実現に直結します。

だれもが働きやすく、精神的な面や人間関係においても良好な職場をつくることで、ワーカーの幸福度向上が期待できます。

このように、生活や仕事において幸せを感じられる職場環境は、帰属意識の創出、満足度の向上につながるため、人材が定着しやすくなります。


優秀な人材の確保

優秀な人材を確保できる点も、ウェルビーイングに取り組むメリットの一つです。

ウェルビーイングを実現することで、多様な価値観を持つワーカーを受け入れる魅力的な企業として、価値を高められます。

求職者に対してウェルビーイングの実現に取り組む姿勢をアピールすれば、優秀な人材を獲得できることが期待できます。


生産性の向上

ウェルビーイングの実現は、職場の生産性向上にも貢献します。

健康や幸福を指すウェルビーイングの実現に取り組むことは、健康経営の一環と捉えられます。

心身ともに健康で、幸福を感じながら仕事に取り組める環境を構築することで、組織の活性化やモチベーション向上、さらには生産性の向上が期待できます。



ウェルビーイングの実現に向けたオフィス環境の改善

ウェルビーイングを実現する取組みの一つに、オフィス環境の改善があります。心身の健康や職場内の関係構築を意識したオフィスは、ウェルビーイングの実現に貢献します。

オフィス環境の改善方法として、以下が挙げられます。


▼オフィス環境の改善方法

  • 業務内容や気分に合わせて働く場所を選択できるABWの導入
  • 心身の疲労回復や気分転換ができるリフレッシュスペースの導入
  • 部署やチームの垣根を超えた交流を促すカフェペースの導入
  • オフィス内でヨガや運動ができるトレーニングルームの設置
  • 開放的かつ明るい雰囲気をつくる観葉植物やオフィス家具の導入

快適かつ居心地のよいオフィスを提供して、働くうえでの幸福度が高まることで、生産性やモチベーション、従業員満足度の向上につながります。

その結果、ワーカーの定着率向上や企業価値の向上といった企業の利益にもつながることが期待できます。



まとめ

この記事では、ウェルビーイングについて以下の内容を解説しました。

  • ウェルビーイングの5つの要素
  • 企業においてウェルビーイングが注目される背景
  • ウェルビーイングの実現に取り組むメリット
  • ウェルビーイングの実現に向けたオフィス環境の改善

心身の健康、社会的なつながりによる幸福度を表すウェルビーイングは、企業とワーカーの双方にとってよい影響をもたらします。

ウェルビーイングを実現することで、ワーカーのモチベーションや満足度の向上、帰属意識の創出につながることが期待されます。またその結果として、生産性の向上や人材確保などのメリットを生み出します。

なかでもオフィス環境は、一日の多くをオフィスで過ごすワーカーにとって、働きやすさや幸福度を左右する要素の一つです。

ウェルビーイングの実現に向けて、快適かつ働きやすいオフィスへの改善を図ってみてはいかがでしょうか。

快適なオフィスをつくる条件や設計のポイントについては、こちらの記事をぜひご覧ください。

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