文書管理の目的とは? 適切な文書管理を行う3つのポイント
オフィスのデスクや収納棚に書類が散在していて、必要な文書やファイルがすぐに見つからないという経験のある方も多いのではないでしょうか。
文書管理を適切に行うことで、オフィスをすっきりと整理整頓することはもちろん、業務の効率化や情報漏えいの防止なども期待できます。
この記事では、文書管理の概要とともに、オフィスでの文書管理の目的や適切な文書管理を行うポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.文書管理とは
- 2.文書管理の目的
- 2.1.①情報共有の円滑化
- 2.2.②コンプライアンスの強化
- 2.3.③コストの削減
- 3.適切な文書管理を行う3つのポイント
- 3.1.①文書管理ルールの策定
- 3.2.②セキュリティ対策の実施
- 3.3.③文書のペーパーレス化
- 4.まとめ
文書管理とは
文書管理とは、業務や契約などにおいて発生する、さまざまな文書を管理することです。単に文書を保管するだけではなく、保存・保管・活用・廃棄といった一連のサイクルで段階的に管理することを指します。
たとえば、文書をカテゴリに分けてファイリングする、適切なタイミングで文書を処分するといった作業も文書管理の一つです。また、紙媒体の文書だけではなく、電子データも文書管理の対象となります。
紙媒体の文書を管理する際は、ファイルやボックスなどの収納グッズに加えて、オフィス内に保管スペースが必要です。
文書管理の対象となる書類には以下が挙げられます。
▼業務・取引に関する文書
- 社内の会議・プレゼン資料
- 取引先・顧客との契約書・請求書
- 商品・サービスの提案資料、商談資料
- 製品の設計図
▼会社・ワーカーに関する文書(法定保存文書)
- 会社の定款、株主名簿
- 株主総会議事録、取締役会議事録
- 会計帳簿、源泉徴収に関する書類
- 雇用保険・健康保険・厚生年金保険に関する書類
- ワーカーに関する書類(名簿、雇用・退職、災害補償等)
なお、法律で保存が義務付けられた"法定保存文書”については、文書ごとに保存期間が定められています。主な法定保存文書の保存期間については、こちらの記事もご確認ください。
文書管理の目的
文書管理には、主に社内での情報共有、コンプライアンスの強化、コスト削減といった3つの目的があります。
①情報共有の円滑化
業務や取引に関わる文書を整理することで、社内での情報共有がスムーズになります。
文書を適切な場所に配置することで、必要なときにすばやく取り出せるようになります。その結果、文書を探す時間を大幅に減らして、担当者への承認・伝達フローを円滑にできるため、業務の効率化につながります。
また、情報資産が共有されることで、社内のナレッジ共有や新人ワーカーへの教育にも役立てられます。
②コンプライアンスの強化
コンプライアンスの強化や情報漏えいを防ぐことも、文書管理の目的の一つです。
機密情報や個人情報が含まれた文書が漏えい・不正利用された場合、会社の信用に関わる可能性があります。しかし、文書管理を適切に行うことで、文書の利用者や所在が明らかになるため、紛失・改ざん・盗難の防止につながります。
さらに、顧客とのトラブルが発生した場合にも、関係する文書が保管されていれば、顧客に対して説明する際に役立ちます。適切な文書管理は、コンプライアンス強化のほか、企業の説明責任を果たす際に有効といえます。
③コストの削減
文書管理には、文書の保管・管理にかかるコストを削減するといった目的もあります。
日々の業務に関わる情報を紙媒体で保管する場合、収納棚やキャビネット、ファイルなどが必要になります。また、数年分の文書を保管するとなると、その分だけ収納スペースを追加する必要があります。
文書管理のルールに沿って文書を廃棄することで、保管用の収納棚やファイルの購入費、倉庫のレンタル費などのコストを削減することが可能です。さらに、オフィスの限られたスペースを有効活用することにもつながります。
適切な文書管理を行う3つのポイント
適切な文書管理を行うためには、文書管理のルールを定める、セキュリティ対策を講じる、ペーパーレス化を実施することがポイントです。
これら3つのポイントについて、以下で解説します。
①文書管理ルールの策定
管理する文書の種類や管理方法などのルールを策定して、一定の基準に沿って文書管理を行うことがポイントです。
文書管理のルールを定めて文書管理の漏れ・重複をなくすことで、検索や確認が行いやすくなります。策定したルールは、ワーカー・管理者間で共有するとともに、具体的な方法についてマニュアルを作成しておくことも重要です。
文書管理のルールに含める項目として、以下が挙げられます。
▼文書管理ルールの策定項目
- 管理する文書の対象範囲、文書の分類基準
- 保管期間(法定保存文書も含む)
- 保管方法(紙媒体、電子データ)
- 保管場所(収納棚、管理システム、倉庫等)
- ラベル名・ファイル名の付け方
- 文書の取扱い(複製の可否、持ち出しの可否)
- 廃棄手順と方法
- 罰則・ルールの改廃方法
②セキュリティ対策の実施
法令違反や情報漏えいなどのリスクを回避するには、セキュリティ対策が欠かせません。
文書管理を行う際は、法令で定められた保存期間を遵守できる仕組みづくりが必要です。また、機密情報や個人情報が含まれた文書もあるため、紙媒体・電子媒体ともに、文書の閲覧・利用制限を行うことも重要です。
▼セキュリティ対策の例
- 定期的に文書の棚卸しを行い、法定保存文書の管理状況を確認する
- 各文書の機密度をランク付けして、保存・管理方法を区別する
- 保管場所に入退室管理システムを導入して、出入りできる人物を制限する
- 電子文書が保存されたサーバーやシステムのアクセス制限、ログ管理を行う
③文書のペーパーレス化
電子保存が可能な文書については、ペーパーレス化を検討するのも一つの方法です。
紙媒体の文書を電子化することで、仕分けや検索が行いやすくなり、効率的な管理体制の構築につながります。
また、重要度や機密度などのセキュリティレベルや保管期間を設定して管理することによって、コンプライアンスの強化にも貢献します。文書のファイリングや保管場所の確保が不要になるため、オフィススペースの有効活用、コスト削減も期待できます。
▼文書をペーパーレス化する方法
- 文書管理システムを導入する
- OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)で紙媒体の文書をスキャンして電子化する
- クラウドストレージを利用する
- ペーパーレスFAXを活用する
まとめ
この記事では、オフィスでの文書管理について、以下の項目で解説しました。
- 文書管理とは
- 文書管理の目的
- 適切な文書管理を行う3つのポイント
文書管理には、社内での情報共有の円滑化、コンプライアンスの強化、コスト削減などの目的があります。適切な文書管理を行うことで、業務の効率化や内部統制の強化、顧客の信頼性の向上、オフィススペースの削減などさまざまなメリットが期待できます。
文書管理を行う際は、管理方法や分類基準などのルールを定めたうえで、セキュリティ対策、ペーパーレス化を図ることがポイントです。なお、紙媒体の文書をペーパーレス化して文書管理の方法を見直す際は、オフィススペースの見直しも併せて検討してみてはいかがでしょうか。
文書管理の方法やルールの作り方については、こちらの記事をご覧ください。