オフィス縮小移転のメリット・デメリットと失敗を防ぐ3つのポイント
働き方改革や新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響により、テレワークやサテライトオフィス勤務などの働き方を導入している企業が増えています。
そうした中、オフィスのあり方を見直すために縮小移転を検討している企業もいらっしゃるのではないでしょうか。
オフィス縮小を成功させるためには、メリット・デメリットを理解した上で、自社の課題を解決に導くオフィス環境を検討することが重要です。本記事では、オフィス縮小移転のメリット・デメリットを踏まえ、失敗しないためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.テレワークの普及で広がるオフィス縮小移転の動き
- 2.オフィス縮小移転のメリット・デメリット
- 2.1.メリット
- 2.1.1.コスト削減
- 2.1.2.ワークプレイスの再構築による新たな価値の創造
- 2.2.デメリット
- 2.2.1.定着までに時間を要する
- 2.2.2.移転コストの負担
- 3.オフィス縮小移転に失敗しないための3つのポイント
- 3.1.①オフィス縮小移転の目的を明確にする
- 3.2.②現時点の課題を把握する
- 3.3.③将来的な事業・採用計画を考慮する
- 4.まとめ
テレワークの普及で広がるオフィス縮小移転の動き
現在、さまざまな企業でオフィスの縮小移転に踏み切るケースが見られています。その背景とされるのがテレワークの拡大です。
テレワークの推進は働き方改革が始まった当初からが叫ばれていますが、コロナの影響によって急速に普及しました。コロナの感染が拡大した2020年3月以降、テレワークの実施率は以下のように推移しています。
▼企業全体のテレワーク実施率の推移
2020年3月2日~3月8日(緊急事態宣言前):17.6%
2020年5月28日~6月9日(緊急事態宣言後):56.4%
緊急事態宣言前後を比較すると、テレワークの実施率は約40%も増加しています。また、企業規模別で見た場合にも、中小企業と大企業のいずれにおいても大きく上昇しています。
▼企業規模別のテレワーク実施率の推移
中小企業:14.1%→51.2%(37.1%増加)
大企業:33.7%→83%(49.3%増加)
併せてITツールの普及により、自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースなど、オフィス以外の場所で通常の業務を行える環境も広がっています。このように、テレワークの普及によるオフィス稼働率の低下や働き方の変化に伴い、オフィスの縮小移転を検討する企業が増えています。
出典:総務省『テレワークの最新動向と総務省の政策展開』
オフィス縮小移転のメリット・デメリット
オフィス縮小移転を行う上で、期待できるメリットや注意しなければならないデメリットがあります。
メリット
まず、オフィス縮小移転を行うことで企業にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
コスト削減
オフィスを縮小移転することで賃料や光熱費などの経費を削減できるというメリットがあります。
縮小移転に伴い、オフィス勤務を行うワーカーをテレワークに切り替える場合には、交通費も削減できます。
ワークプレイスの再構築による新たな価値の創造
オフィスの縮小移転はワークプレイスのあり方を見直すきっかけにもなります。経営戦略の視点でワークプレイスを再構築することによって、新たな価値の創造に期待できます。
たとえば、ワーカーの利便性や求められる機能を再定義して以下のような環境づくりが可能です。
- オフィスをアイデア創出やコラボレーション促進の場として利用する
- 一人ひとりが働く場所を選べる柔軟なワークスタイルを整える
- ワーカーの業務に合わせたワークスペース設計を行う
デメリット
次に、オフィス縮小移転により懸念されるデメリットを紹介します。
定着までに時間を要する
オフィス縮小によってレイアウトや各スペースの用途が変わるため、オフィスの使い方やルールを策定する準備に時間がかかります。
新たなワークスペースでの働き方が定着するまで時間を要することがある他、ワーカーが不便さを感じることもあります。
移転コストの負担
縮小移転によって今後のライニングコストは抑えられますが、移転にかかる初期費用の負担は避けられません。
移転にかかるコストとしては、引越し費用や改装費用、賃貸契約にかかる費用などが挙げられます。
オフィス縮小移転に失敗しないための3つのポイント
オフィス縮小移転を成功させるためには、事前の準備や計画を適切に行わなければなりません。ここでは、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
①オフィス縮小移転の目的を明確にする
オフィスを縮小移転する際は、目的を明らかにする必要があります。たとえば、「テレワーク導入のため」「業務効率の向上を図るため」など、縮小移転の目的は企業によって異なります。
目的を設定する際は、コスト削減をはじめとした企業目線の目的だけではなく、ワーカーにとって価値があるかを検討することが重要です。その上で、縮小移転による効果やメリットをワーカーへ周知することで企業として目指す方向性が明確になり、ワーカーのモチベーション向上にもつながります。
②現時点の課題を把握する
オフィス縮小移転の目的を達成するためには、現時点での課題を把握し、求められる機能を具体化させることがポイントです。たとえば、企業が抱える課題には以下が挙げられます。
▼オフィスの課題例
- 執務スペースや会議室、休憩室などの動線が複雑になっている
- OA機器が点在しており移動ロスが発生している
- デスクに書類やモノがあふれている
- 会議室の数が不足している
縮小移転によってオフィスの広さ・レイアウトが変わるため、OA機器の設置場所や各スペースにおける動線の見直しが必要です。
また、移転後には書類やモノでスペースが圧迫される可能性もあるため、ツール活用によってペーパーレス化を検討するのもよいでしょう。スペースを有効活用するために、個室の会議室を減らして打ち合わせにも使えるオープンスペースを導入するといった方法も有効です。
③将来的な事業・採用計画を考慮する
現時点での課題だけでなく、今後の事業や採用計画を見通したオフィス設計が欠かせません。組織変更や部署の増加、人員の増員などを見越して、それらに対応できる柔軟なオフィス設計を考えることがポイントです。
縮小移転によってオフィスの規模自体は小さくなりますが、以下のような形であれば、限られたスペースでもフレキシブルにオフィスを活用できます。
▼柔軟性のあるオフィスの例
- フリーアドレスの導入で縮小後のスペースを有効活用
- 各部署のパーティションをなくし、業務内容に応じた作業場所の選択
- 可動式のオフィス家具で研修・セミナーにも使えるスペースの確保
まとめ
オフィス縮小移転には、コストの削減や多様なワークスタイルを取り入れられることなどのメリットがある一方で、移転コストや定着までに時間を要することなどのデメリットも存在します。
事前に自社の課題や移転後のワークスタイルを明確にしておくとともに、将来の事業計画についても十分に検討することがポイントです。
また、縮小移転においては、無駄なスペースを削減して限られたオフィススペースを有効活用するための動線設計や見直しも欠かせません。
文祥堂では、企業の目的に合わせたスペース活用をサポートいたします。オフィス縮小移転に伴って「オフィスの無駄なスペースを減らしたい」「書類やモノを効率的に管理してスペースを有効活用したい」とお考えの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。 |