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複数の拠点間を円滑に通信するためのネットワーク環境

近年、サテライトオフィスでの勤務やリモートワークなど、多様な働き方が広まりつつあります。オフィスと自宅、またはオフィスとサテライトオフィスなど、複数の拠点間を安全かつ円滑に接続するには、拠点間通信を実現できるネットワーク環境の構築が必要です。

しかし、「どのような通信環境を構築すればよいのか分からない」「セキュリティ面は大丈夫なのか」といった悩みを抱える企業の担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、この記事では複数の拠点をネットワークでつなぐネットワーク環境の構築方法について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.拠点間通信を実現する3つの方法
    1. 1.1.①専用線
    2. 1.2.②インターネットVPN
    3. 1.3.③IP-VPN
  2. 2.安全な拠点間通信にはVPNが有効
  3. 3.オフィスの拠点間通信を実現するVPNの構築方法
    1. 3.1.①VPN機器(ルーター)を各拠点に設置する
  4. 4.②VPNサーバのソフトウェアをインストールする
  5. 5.VPN構築に向けた自社サーバのクラウド化も有効
  6. 6.まとめ


拠点間通信を実現する3つの方法

働く場所の多様化、クラウドサービスの発展などにより、社外から社内サーバやシステムにアクセスできる拠点間通信の重要性が高まっています。

社外からのアクセスに備えて通信環境のセキュリティ対策を行うことも欠かせません。ここでは、拠点間通信を実現する3つの方法と、それぞれの安全性について解説します。


①専用線

企業専用の物理的なインターネット回線を構築して拠点間通信を行う方法です。

1社に対して1本の専用線を用いるため、自社以外の接続ができず、安全性が極めて高くなります。ただし、各拠点との距離が離れたり、拠点数が増えたりするほど、コストが高額になるといった点には注意が必要です。

また、専用線で結ばれていない拠点やモバイル環境ではアクセスできないという特徴もあります。


②インターネットVPN

既存のインターネット回線を利用して暗号化通信を行う方法です。

専用の回線を敷く必要がないため、専用線よりも費用を抑えられます。インターネット環境があれば、VPN機器(ルーター)を拠点間に接続して通信環境を自社構築することが可能です。

データを暗号化して通信しますが、不特定多数の人が利用する公衆網を用いるため、セキュリティが十分とはいえません。通信速度や品質については、インターネット回線の影響を受けやすいことにも注意が必要です。


③IP-VPN

通信事業者が提供するネットワーク(閉鎖網)を使って通信を行う方法です。

通信事業者独自のインターネット回線を利用するため、高いセキュリティを確保できます。

通信速度や品質が安定している反面、インターネットVPNと比べると費用が高くなりやすいのが特徴です。VPN機器(ルーター)の設定や構築などはすべて通信事業者が対応してくれるため、運用の負担を軽減できる利点もあります。



安全な拠点間通信にはVPNが有効

VPNを導入する際は、インターネットVPNとIP-VPNの違いや特徴を把握し、企業規模や予算、ニーズによって適切なVPNを選びましょう。


▼インターネットVPNとIP-VPNの比較


インターネットVPN

IP-VPN

コスト

比較的低額

高額
導入までの期間
2週間程度

約2~3ヶ月

セキュリティ

セキュリティ面に課題

※公衆回線を利用するため

セキュリティ面の信頼性が高い

※閉域網を利用するため

運用
自社運用可能
構築や運用を通信事業者に依頼できる
向いている企業
  • 拠点数が少ない小規模オフィス
  • 低コストで拠点間通信を行いたい
  • 手軽にネットワークを構築したい
  • ネットワーク構築や運用を通信事業者に任せたい
  • 複数拠点で安定した通信環境を確保したい
  • 通信のセキュリティを強化したい


通信環境のセキュリティやコストはもちろん、今後の運用や保守点検、トラブル時の対応なども考慮して選ぶことが重要です。



オフィスの拠点間通信を実現するVPNの構築方法

VPNを用いて拠点間通信を行うには、VPNサーバの構築が必要です。ここでは、VPN構築の2つの方法について解説します。


①VPN機器(ルーター)を各拠点に設置する

1つ目は、各拠点にVPN対応のルーターを配置して拠点間通信を行う方法です。

WindowsやiOS、AndroidなどのOSにはVPNクライアントが標準装備されています。そのため、端末にVPNクライアントをインストールすることなく、外出先から社内サーバへリモートアクセスできます。

インターネットVPNの場合は、自社でVPN機器を用意して構築することも可能です。ただし、市販のVPN機器(ルーター)は、接続できるサーバ数やリモートアクセス数に制限があるため注意しましょう。

一方、IP-VPNは通信事業者と契約が必要ですが、機器の準備や設定は通信事業者が行います。複数の拠点を持つ企業や大規模なネットワーク構築が必要な場合は、通信事業者のVPNサービスを利用するのがおすすめです。


②VPNサーバのソフトウェアをインストールする

2つ目は、社内のパソコンにVPNサーバのソフトウェアをインストールする方法です。

自宅や外出先から社内のパソコンを経由して社内ネットワークにリモートアクセスできます。オフィス外にいるワーカーと、オフィスのネットワークをつなぎたい場合に有効です。

個人単位でサーバを構築できるため、特定のワーカーのみリモートアクセスを行う場合にも活用できます。



VPN構築に向けた自社サーバのクラウド化も有効

従来では、社内で物理的なサーバを保有し、社内のパソコンにデータを保存・管理するのが一般的でした。しかし、サーバの保守管理に手間がかかるほか、トラブルや障害時のデータ損失リスクなどの課題が残ります。

VPNを活用すれば、自社が保有する物理的なサーバをクラウド化して、安全なクラウド環境へのアクセスを実現できます。

クラウド上でデータを保存・管理できるため、社内で運用や設備管理を行う必要もありません。安定した拠点間通信を行うためにも、VPNの構築と並行して、自社サーバのクラウド化を検討してみてはいかがでしょうか。



まとめ

オフィスとサテライトオフィス、オフィスと自宅といった複数の拠点間通信には、専用線やVPNなど複数のネットワーク構築方法があります。それらのなかで、より安全なアクセスを実現するにはVPNがおすすめです。

VPNには、自社構築が可能なインターネットVPNと通信事業者と契約して運用を任せられるIP-VPNがあります。拠点数やコスト、運用負荷などを考慮したうえで選ぶことがポイントです。

また、拠点間通信によって業務を円滑に遂行するには自社サーバのクラウド化も有効です。VPNを通じてクラウドサーバに安全に接続できるネットワーク環境を整備できます。


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