従業員のモチベーションをアップ! 快適なオフィス環境づくりのポイント
人手不足が課題となっている現代では、生産性の向上や業務効率化に向けた取り組みをはじめ、従業員が働きやすい職場環境が求められています。
なかでも、従業員のモチベーションは、生産性向上や定着率アップに寄与する重要な要素のひとつです。たとえ待遇がよくても、「やる気がでない」「ストレスが溜まってしまう」といった職場環境では、従業員のモチベーションを維持することは難しいでしょう。
働きやすい職場環境を目指すためには、従業員のモチベーションアップにつながる快適なオフィス環境を整えることが大切です。
本記事では、従業員のモチベーションとオフィス環境の関係、快適なオフィス環境づくりのポイントを紹介します。
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モチベーションとオフィス環境にはどのような関係がある?
従業員のモチベーションは生産性と深く関係しており、モチベーションが高いほど、会社の利益や生産性の向上が期待できるとされています。
そして、従業員のモチベーションに影響を与える要素のひとつとして確認されているのが、オフィス環境です。
一般社団法人日本オフィス家具協会が実施した調査では、約7割が、「オフィス環境は仕事の成果や仕事に対するモチベーション向上に影響を与える」と回答しています。
出典:一般社団法人 日本オフィス家具協会『「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」を探るための調査の実施と、分析結果を踏まえた提言・提案』
人材不足が進行するいま、企業の業績や仕事内容だけに留まらず、「働く人に選ばれる会社かどうか」が、企業存続のための重要な要素となっています。
やる気を持って長く働いてもらうためにも、従業員の満足度やモチベーションの向上につながる環境の整備が求められるでしょう。
従業員のモチベーションをアップ! オフィス環境づくりにおける7つのポイント
快適なオフィス環境を整えるには、どのような改善が必要なのでしょうか。
具体的なオフィスづくりのポイントを7つ紹介します。
1.明るく開放的な空間設計
オフィス内でストレスを感じる要因のひとつに、オフィスの閉塞感が挙げられます。
たとえば、「狭い場所にデスクが並べられ移動しづらい」「デスク間にゆとりがなく従業員同士の距離が近い、視線が気になる」といった問題は、オフィスの狭さが原因となっていることが多いでしょう。
狭く閉鎖的な空間は、不安やストレスを招くこともあり、従業員のモチベーション低下につながりやすいといえます。
そのため、執務スペースをつくる際は、従業員が無理なく通れる通路や、十分なパーソナルスペースを確保するのがポイントです。
具体的なアイデアとして、以下を参考にしてみてもよいでしょう。
- 間仕切りやパーテーションをなくして圧迫感をなくす
- オフィス家具や棚は、背の高いものから背の低いものに変える
- 保管する文書・書類が多い場合は、移動棚を活用して空きスペースをつくり出す
従業員が自然と前向きな気持ちになり、ストレスなく業務に集中できるよう、開放的な空間を意識したオフィスづくりをすることが大切です。併せて、採光性に気を使うことで、仕事に対するモチベーション向上が期待できるでしょう。
2.デスク配置・動線を工夫してコミュニケーションを促進
コミュニケーションが取りやすいデスク配置・動線を心がけることも、モチベーション向上に欠かせないポイントのひとつです。
従業員や部署間の執務スペースが仕切られていると、移動が面倒になり、直接的なコミュニケーションが取れない要因にもなります。
現代では、チャットやWeb会議などのコミュニケーションツールで連絡を取る方法が一般化しています。
しかし、プロジェクトによっては、顔を合わせたコミュニケーションのほうがスムーズに意思が伝わったり、効果的な意見交換ができたりする場合もあります。
普段はかかわりのない人と話す機会が増えれば、それまで思いつかなかった新たな企画案が生まれるきっかけになることもあるでしょう。
部署の垣根を超えたコミュニケーションを促すには、移動しやすい動線の確保やデスク配置の工夫により、従業員同士が話しやすい環境を整えることが重要です。
具体的な方法には、以下のような方法があります。
- 従業員が共有できるフリースペースを用意する
- フリーアドレス制を導入する
- デスク間のパーテーションをなくす
- チームやプロジェクトに関係のある部署のデスクを近くに配置する
誰もが使えるフリースペースがあれば、集まって意見交換をしたいときや、一緒に作業を進めたいときに活用できて便利です。
また、従業員のデスクを固定しないフリーアドレス制は、普段話さない人同士のコミュニケーションが生まれやすいという利点があります。
座席を変えることで気分転換になり、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。
フリーアドレス制が難しい場合は、デスク間のパーテーションをなくしたり、関係性の高い部署・チームのデスクをまとめたりするだけでも、社内のコミュニケーション促進が期待できます。
3.集中力が必要な業務にはパーソナルスペースを
日本のオフィスでは、デスク同士が対向している“島型”と呼ばれる配置が一般的です。
同じ島の従業員とコミュニケーションが取りやすいメリットはありますが、一方で、周囲の視線や声が気になり、業務に集中できないと感じることもあるでしょう。
一人で黙々と作業を進めたいときのために、周囲から干渉されずに集中できるパーソナルスペースを確保することも効果的な方法です。
- パーテーションに囲まれた個室ブースを設置する
- 窓際を背面にして、仕切りのあるデスクを配置する
- 背中合わせにカウンターテーブルを配置する
- ソファ型のL字型個室を配置する
パーソナルスペースをつくる際は、周囲の視線や音が気にならないようにパーテーションを用いたり、視線が合わないよう背中合わせにデスクを配置したりして、周囲から隔離された状態をつくりましょう。
声や視線を遮断することで、集中して業務に取り組みやすくなり、仕事の質や生産性の向上が期待できます。
4.リフレッシュルームを設ける
モチベーションを維持しながら効率的に仕事を進めるには、息抜きも大切です。
仕事による心身のストレスは、業務効率の低下を招くほか、心身の健康にも影響を及ぼしかねません。
適度に息抜きをすることは、健康管理やモチベーション維持にも不可欠といえます。
通常業務から離れて心身をリフレッシュできるスペースを設けることで、体の疲れや気持ちをリセットして、仕事に集中して取り組める効果が期待できます。
リフレッシュルームを設けるときは、単なる休憩室ではなく、落ち着いてくつろげる空間になるよう工夫することが大切です。
具体的な方法としては以下が挙げられます。
- カフェスペースを設置する
- リラックスできるインテリアや空間設計にこだわる
- 休憩室にフリードリンクや軽食を用意する
- テレビが見られる部屋やマッサージチェアなどを用意する
- 遊びルーム(卓球・ボードゲームなど)を設置する
リフレッシュスペースで一息ついたり、周囲の従業員と何気ない会話を楽しんだりすることで、心身のリフレッシュにつながるのはもちろん、思わぬアイデアが生まれることもあるでしょう。
従業員が実際に活用できるものを導入できるよう、事前に従業員の意見を聞いておくことも大切です。
5.空間ごとに最適な照明を選ぶ
一口に照明といってもさまざまな色があり、その色によって人に与える効果が異なります。オフィスの照明を選ぶ際は、部屋の用途に応じて最適な色を選ぶことが大切です。
照明の色と適した場所は、以下のとおりです。
■昼光色
青みがかった白の明るい色。
集中力を高める効果があり、細部まで見やすくなるのが特徴です。
集中して作業したい執務スペースや、書類チェックなどの細かい作業を行うスペースに適しています。
■昼白色
太陽の明るさに近い自然な色。
昼光色だと明るすぎて目が疲れるといった場合は昼白色がおすすめです。
エントランスや会議室、作業スペースに適しています。
■電球色
オレンジのような温かみのある暖色系の色。
明るさを抑えているため、リラックス効果や、料理を美味しく見せる効果があるといわれています。
リフレッシュルームや休憩室、カフェスペース、食堂などに適しています。
照明を選ぶ際は、「集中力を高めたい」「リラックスして過ごせる空間にしたい」など、その場所に合った色選びを心がけましょう。
6.緑を取り入れる
植物の緑は目に優しく、疲労回復や集中力アップに有効とされているため、仕事で溜まった疲労やストレスを緩和したり、脳をリラックスさせたりする効果が期待できます。
オフィスに緑を取り入れる際は、以下の方法を参考にしてみてください。
- 執務スペースに観葉植物を配置する
- リフレッシュルームやトイレをフェイクグリーンでデザインする
- 自然の風景や植物のイラスト・絵画などを飾る
オフィス内に観葉植物やフェイクグリーン(人工観葉植物)を取り入れることで、リラックス効果や仕事への意欲の向上、さらには生産性アップが期待できます。
ただし、観葉植物は手入れが必要になるため、維持コストや手入れにかかる労力を検討してから導入するといいでしょう。
7.デスク・チェアにこだわる
オフィスのデスクやチェアは毎日使うため、体に合わないものを使っていると、疲れやストレスが溜まりやすくなります。
とくに長時間デスクワークをする従業員にとって、“使い心地”や“体への負担”は、モチベーションを左右するポイントのひとつです。
従業員が快適に仕事に取り組めるよう、座り心地がよく体に負担のないデスクやチェアの導入を検討しましょう。
- 高さ調節が可能なチェアを導入する
- 姿勢補助用のグッズを貸し出す
- スタンディングワークを取り入れる
デスクやチェアをまるごと買い替えるのが難しい場合は、上記のように姿勢補助用のクッションを貸し出したり、スタンディングワークを取り入れたりするのが効果的です。
とくに、スタンディングワークには、集中力を高めて作業効率がアップする効果があるとされています。
デスクとスタンディングワークの両立により、疲労度や気分に合わせ、従業員が自由に働き方を選択できるのもメリットです。
体の負担を軽減し、快適に仕事ができる環境が整えば、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。
快適&ストレスフリーなオフィス環境を目指そう
従業員がストレスを溜めず快適に働けるオフィス環境は、モチベーションや会社に対する満足度、生産性の向上につながります。
また、企業のイメージアップや人材採用のアピールにもなるため、効果的に実践していくのが望ましいでしょう。
オフィス環境を改善したい場合は、従業員が満足できる設備を導入することが重要です。従業員にヒアリングやアンケートを行い、現状への不満や改善してほしい点、あったら嬉しい設備などをリストアップしましょう。
従業員の声を聞くことで、オフィスにどのような環境や設備が求められているかが明確になり、従業員に喜ばれるオフィス環境を実現できます。
そのほか、オフィスリニューアルのトータルコンサルティングを行っているプロに相談するのも有効です。
今回紹介したポイントを参考に、モチベーションを高めるためのオフィス環境づくりをはじめてみてはいかがでしょうか。