オフィス移転に必要な13の手続きとは?
オフィスの移転には、書類の作成・提出など、多くの事務手続きが発生します。
手続き内容によって提出期限が異なるため、それぞれのスケジュールを管理しながら、通常業務と並行して進めるのは容易なことではありません。
オフィス移転をスムーズに進めるためには、どのような事務手続きが必要かを事前に把握しておくことが大切です。
本記事では、オフィス移転で発生する事務手続きについて解説します。
目次[非表示]
- 1.オフィスでの手続き
- 1.1.電話・インターネットの手続き
- 1.2.銀行・クレジットカードの手続き
- 1.3.リースの住所変更手続き
- 1.4.郵便局での手続き
- 1.5.法務局での本店・支店移転登記申請手続き
- 1.6.労働基準監督署での住所変更手続き
- 1.7.年金事務所での住所変更手続き
- 1.8.税務署での住所変更手続き
- 1.9.都道府県税事務所での住所変更手続き
- 1.10.取引先での住所変更手続き
- 1.11.警察署での手続き
- 1.12.運輸局での手続き
- 1.13.消防署での手続き
- 2.まとめ
オフィスでの手続き
オフィスの移転が決定してまず必要になるのが、現オフィスの解約手続きです。
一般的に、解約通知は退去の6ヶ月前までにオフィスの管理会社やオーナーに提出します。
ただし、賃貸借契約によって解約通知を提出するタイミングが異なる場合もあるため、いつまでに解約通知が必要かを事前に確認しておきましょう。
現オフィスの引き渡し日が決まったあとは、原状回復工事の手配が必要です。
オフィスの原状回復工事は、管理会社やオーナーが施工業者を指定することが一般的ですが、特に指定がない場合もあります。その場合は、自社で施工業者を手配する必要があります。
電話・インターネットの手続き
社内で利用している電話・インターネットに関する手続きも、オフィスの移転に伴い発生する作業のひとつです。
移転しても契約を継続する場合は移転手続きを、契約先を変更する場合は、現プロバイダの解約手続きと新規契約先のプロバイダへ申し込みを行いましょう。
- 電話契約会社
電話もしくはインターネット、郵送などで手続きします。必要書類などは電話契約会社によって異なるため、事前に問合せしておきましょう。
また、移転先の住所によっては電話番号が引き継げない場合があります。
新しい電話番号の取得や、移転アナウンスの手続きなども忘れずに行いましょう。
- プロバイダ
電話やインターネットなどで届け出るのが一般的です。
移転先で回線開通工事が必要になるため、引越し予定日から業務開始日までの期間で日程調整を行いましょう。
解約時期によっては解約金が発生する場合もあります。必要書類などを含め、プロバイダへ事前に確認しておくことが重要です。
銀行・クレジットカードの手続き
移転が完了したら、銀行・クレジットカード会社の住所変更をしましょう。
- 銀行口座
最寄りの銀行窓口、または郵送やインターネットで住所変更手続きを行います。
届出印や通帳、印鑑登録証明書、窓口に行く人の本人確認書類など、持参品や必要書類も複数あります。事前に確認しておきましょう。
- クレジットカード
クレジットカードの住所変更は、郵送やインターネット、コールセンターを通じて行うのが一般的です。
郵送の場合、書類不備があると手続きに数ヶ月を要してしまう可能性もあります。スムーズ進めるためにも必要書類などは事前に問合せておきましょう。
リースの住所変更手続き
現オフィスでOA機器や複合機などをリースしている場合は、リース会社に移転の連絡をしなければなりません。
ただし、一般的にリース契約は途中解約できず、移転先でも契約を引き継ぐことになります。そのため、解約を考えている場合は注意が必要です。
また、リース会社によっては新オフィスへの運搬を担う業者を指定しているところもあります。
会社によって規定が異なるため、事前に確認しておきましょう。
郵便局での手続き
移転日が決まったら、郵便物の転送手続きをしましょう。
郵便局では、転居を届け出た日から1年間、旧住所宛ての郵便物を新住所に無料で転送してもらえます。
転送サービスの手続きは、最寄りの郵便局もしくはインターネットで行うことができます。会社の場合は、社員証や健康保険証など、会社と窓口に来た人との関係が分かるもの、官公庁発行の住所が記載された旧住所を確認できる書類などが必要です。
法務局での本店・支店移転登記申請手続き
会社を移転する場合、移転した日から2週間以内に所在地の移転登記をしなければならないと定められています。
手続きは管轄の法務局で行いますが、ほかの管轄区域に移転する場合には、新旧オフィス両方の法務局で登記申請書を提出しなければなりません。
移転登記の手続きは、移転するのが本店か支店かで提出期限や必要書類などが異なります。
- 本店の移転
所在地を管轄する法務局で“本店移転登記申請書”を提出します。旧所在地の管轄外へ移転する場合は、旧所在地用と新所在地用、2通の申請書が必要です。2通まとめて旧所在地の法務局に提出すれば、新所在地の法務局に送付してもらえます。
期限は、本店の移転日から2週間以内となっており、手続きには取締役会議事録や株主総会議事録(臨時)などが必要です。
そのほか、定款の変更を伴う場合には、定款変更の手続きも行わなければなりません。
- 支店の移転
所在地を管轄する法務局で“支店移転登記申請書”を提出します。旧所在地の管轄外へ移転する場合は、旧所在地の法務局を経由して新旧両方の法務局に申請します。
申請は、本店所在地には移転日から2週間以内、旧支店所在地には移転日から3週間以内、新支店所在地には移転日から4週間以内に提出します。
手続きには取締役会議事録の書類や登録免許税が必要です。
労働基準監督署での住所変更手続き
移転後は、労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)へ、それぞれ“労働保険名称・所在地等変更届”と“雇用保険事業主事業所各種変更届”を移転後10日以内に提出しましょう。
提出方法は、所轄の窓口に持参するほか、電子申請、郵送などに対応しています。
なお、一元適用事業所と二元適用事業所とでは、提出先が異なるため注意が必要です。
- 一元適用事業所
労働基準監督署へ労働保険名称・所在地等変更届を提出したあと、書類の控えを添えて、移転後の所在地を管轄するハローワークへ、労働保険名称・所在地等変更届の控えや確認書類を添えて、雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。
- 二元適用事務所
移転後の所在地を管轄するハローワークへ労働保険名称・所在地等変更届雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。
年金事務所での住所変更手続き
オフィスを移転する際は、“適用事業所所在地・名称変更(訂正)届”を、移転から5日以内に所在地を管轄する年金事務所へ届け出る必要があります。
ただし、同一の管轄内で移転する場合と、管轄外へ移転する場合とでは、提出する書類の記入内容が異なるため注意しましょう。
また、移転することで管轄の年金事務所が変更になる場合は、事業所整理番号および事業所番号が変更されます。都道府県をまたいだ移転の場合は、被保険者証の差し替えも必要です。
年金事務所での住所変更は、所轄の窓口のほか、郵送やインターネットで申請できます。
税務署での住所変更手続き
移転後は、税務署へ“異動届出書”の提出が必要です。
移転前と移転後で管轄する税務署が異なる場合は、それぞれの税務署で“給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書”を提出しなければなりません。
- 異動事項に関する届け出
移転後、速やかに異動届出書を提出します。
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届け出
移転後1ヶ月以内に、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書を提出します。
税務署での住所変更手続きは所轄の窓口のほか、郵送やインターネットで申請できます。
都道府県税事務所での住所変更手続き
移転後、都道府県税事務所へ“納税地の異動届出書”・“事業開始等申告書”を速やかに提出しましょう。
移転前と移転後、両方の所在地を管轄する都道府県税事務所に届け出が必要です。
本店と支店では提出する届出書が異なるため注意しましょう。
- 本店の移転
移転した日から1ヶ月以内に、新旧の所在地を管轄する都道府県税事務所・市町村役所に納税地異動届出書・事業開始等申告書を提出します。
- 支店の移転
移転した日から1ヶ月以内に、新旧の所在地を管轄する都道府県税事務所・市町村役所に事業開始等申告書を提出します。
これらの手続きには、定款や登記簿謄本の写し、議事録などが必要です。
所轄の窓口のほか、インターネットや郵送でも申請できます。
取引先での住所変更手続き
法務局や税務署などでの手続きに加え、取引先や関係者へも移転通知を行わなければなりません。
オフィスの移転先が確定した時点で、取引先や関係者宛に新住所や移転時期を知らせるハガキやメールを送ります。
その際、地図やアクセスを記載すると、より親切で分かりやすいでしょう。
警察署での手続き
会社で車を所有している場合は、移転後の所在地が管轄する警察署へ“自動車保管場所証明”を提出しなければなりません。
期限はありませんが、申請しなければ原則として車を保有できないため、移転後なるべく速やかに届け出ることが大切です。
これらの手続きには、保管場所の所在図、配置図などの添付が必要です。
運輸局での手続き
会社名義の車両がある場合は、移転後に運輸局で車検証の住所変更が必要です。
警察署で車庫証明を取得したら、移転後の所在地を管轄する運輸支局の窓口で住所変更届を提出しましょう。
手続きには、商業登記簿の謄本または抄本、車検証、車庫証明書、自動車税申告書などが必要です。
消防署での手続き
移転後の所在地を管轄する消防署へ、“防火対象物使用開始届出書”・“防火対象物工事等計画届出書”の提出も忘れてはいけません。
従業員が50名以上いる場合は、“防火・防災管理者選任届出書”を提出します。
- 防火対象物使用開始届出書
オフィスやテナントを契約する際、オフィスを使用し始める7日前までに、移転後の管轄消防署に提出します。
届け出る際は、消防署の書式を使ったオフィスレイアウト図が必要です。
- 防火対象物工事等計画届出書
新オフィスの工事を行う際、工事を始める7日前までに、移転先の管轄消防署へ提出します。
防火対象物概要表・案内図・詳細図・平面図・立面図・断面図・展開図・室内仕上表および建具表などが必要です。
- 防火管理者選任届出書
50名以上の従業員がいる場合、オフィスの使用開始日までに、移転後の管轄消防署へ届け出ます。
防火管理者証や防火管理に係る消防計画、管轄の消防署の書式を使用した消防計画書が必要です。
まとめ
オフィスの移転に伴う事務手続きは多岐にわたります。用意する書類や手続き期限が異なるため、煩雑になりがちで、通常業務と並行して進めるのは難しいといえるでしょう。
「業務に支障をきたす可能性がある」「移転手続きに割ける人的リソースが足りない」という場合は、オフィス移転にかかわるさまざまな業務をアウトソーシングするのもひとつの方法です。
まずは、ここで挙げた事務手続きのように、自分たちで対応しなければならないタスクと、アウトソーシングできるタスクに振り分けることから始めてみましょう。
どこまでアウトソーシングできるかを判断できない場合は、オフィス移転のプロに聞いてみるという方法も有効です。
サービスが充実しているところなら、オフィスの現状調査・分析から、レイアウト提案、引越しまで、幅広い業務を一貫して任せることができます。
作業量が膨大なオフィス移転は、「プロに任せるタスク」と「自社で行うタスク」をうまく振り分けて進めるようにしましょう。