ニューノーマル時代のオフィスに求められる役割とリニューアルにおける2つのポイント
働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症の拡大によって、働き方の多様化が進むいま、オフィスに求められる要素も変わりつつあります。
そうしたなか、ニューノーマル時代の新しい働き方に対応するために、オフィスをリニューアルしようと検討している企業もあるのではないでしょうか。
この記事では、ニューノーマル時代のオフィスに求められる役割やリニューアルの際に直面しやすい課題、リニューアルを実施する際の2つのポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ニューノーマル時代のオフィスに求められる役割
- 1.1.コミュニケーションの活性化
- 1.2.ワーカーのモチベーション向上
- 1.3.付加価値の創出
- 2.オフィスリニューアルで直面しやすい課題
- 2.1.①コストの増加
- 2.2.②デザイン性と機能性の両立
- 2.3.③セキュリティ対策の強化
- 3.オフィスリニューアルの2つのポイント
- 3.1.①可変性のあるレイアウト設計
- 3.2.②交流を生むスペースの導入
- 4.まとめ
ニューノーマル時代のオフィスに求められる役割
働き方の多様化が進むいま、オフィスは働くためだけの場所ではなくなっています。在宅勤務やサテライトオフィス勤務などのテレワークが普及するなかで、オフィスとしての新たな役割が求められています。
コミュニケーションの活性化
オフィスの新たな役割として、ワーカー同士のコミュニケーションを活性化する場が求められています。
たとえば、テレワークを導入している企業では、非対面でのコミュニケーションが中心になります。そのため、表情から意図を汲み取りにくいほか、自然発生的な会話が生まれにくく、ワーカー同士のつながりが希薄になってしまう可能性があります。
そこで、オフィスをリアルなコミュニケーションの場とすることで、偶発的な交流や会話が生まれやすくなります。その結果、部署・チームにおける一体感の醸成、新たなアイデアやひらめきの創出につながります。
ワーカーのモチベーション向上
ワーカーがモチベーションを向上できるような場にすることも、オフィスに求められる新たな役割の一つです。
ワーカーのなかには、上司や同僚などと顔を合わせて業務を行い、切磋琢磨し合える環境を好む人もいます。そのようなワーカーの場合、テレワークで仕事をする際に、「オン・オフの切り替えが難しい」「周囲からの評価が届きにくい」などの理由でモチベーションが低下してしまうことがあります。
ニューノーマル時代では、ABW(Activity Based Working:アクティビティ・ベースド・ワーキング)の導入により、仕事内容や気分に応じて働く場所を選べるようにすることも有効なオフィスリニューアルの一つです。
オフィスをリニューアルして、働きやすいワークスペースを自由に選択してもらうことで、モチベーションの向上、パフォーマンスの向上につながります。
付加価値の創出
これからのオフィスには、企業理念や文化などを反映して、そこでしか体験できない付加価値を創出する役割が求められます。
テレワークでワーカーが個別に働いていると、企業理念や文化などが浸透しにくく、組織への帰属意識が薄れやすいです。
必要なときに社員が一堂に会する中心的なオフィスがあることで、帰属意識を高められます。また、オフィスの設計・デザインに企業理念や企業文化を反映することで、企業の先進性を高めたり、オフィスの魅力を伝えたりできます。
リニューアルによってオフィスの付加価値を創出できれば、従業員エンゲージメントの向上やブランディングも期待できます。
オフィスリニューアルで直面しやすい課題
オフィスのリニューアルを進める際は、実現したい働き方を明確にしたうえで、必要な機能やコスト、セキュリティ対策などを踏まえた具体的なコンセプト、レイアウトを考えることが重要です。
ここからは、オフィスのリニューアルで直面しやすい課題を3つ紹介します。
①コストの増加
オフィスのリニューアルには大規模な工事が必要になることもあり、コストが高額になりやすいという課題があります。
リニューアルにかかる費用項目には、以下が挙げられます。
▼オフィスリニューアルにかかる主な費用項目
- 内装工事費(建材や設備など)
- インターネットの配線工事費
- OA機器の解約費
- オフィス家具の廃棄費
- 新しいオフィス家具の購入費
コスト負担を抑えようとするあまり、投入資金を削減すると、効果的なリニューアルを実施できない可能性があります。
「どのような働き方を目指しているのか」「どこに改善が必要か」など、課題や目標を明確にしたうえで、適切なコスト配分を行うことが重要です。
②デザイン性と機能性の両立
リニューアルに際してレイアウトを変更する場合、企業理念やコンセプトに沿ったデザインを反映しつつ、必要な機能性を確保することが重要です。
理由は、見た目のデザインやユニーク性を意識しすぎて機能性に欠けたオフィスは、生産性とモチベーションの低下を招くおそれがあるためです。
レイアウト設計で確認しておくポイントには、以下が挙げられます。
▼レイアウト設計時の確認ポイント
- 効率的に業務ができる動線を確保しているか
- 関連部署やチームで円滑にコミュニケーションが取れるか
- 業務内容に適した執務スペースがあるか
- 快適に過ごせるリフレッシュルームや休憩スペースがあるか
ワーカーの働きやすさや部署間での連携のしやすさなどを考慮したうえで、デザイン・機能性を両立させたレイアウトにします。
③セキュリティ対策の強化
フリーアドレスやABWを導入する場合、セキュリティ対策の強化が欠かせません。
フリーアドレスやABWの導入にあたっては、固定席をなくして働く場所を自由に選べるように、オフィス内のネットワークを無線化します。その際、無線LANに安全に接続するためのセキュリティが必要です。また、個人のノートパソコンや重要書類の紛失・盗難対策も求められます。
▼セキュリティ対策例
- 個人情報・機密情報を取り扱う部署・窓口では、仕切りや目隠しを設置する
- フリーアドレスの導入時には、個人用のロッカーを用意する
- 業務システムへのアクセス制限やログイン管理を行う
部署や業務ごとに、求められるセキュリティレベルに応じたレイアウトの工夫、システム活用による情報漏洩・不正アクセス対策を行うことが重要です。
オフィスリニューアルの2つのポイント
ニューノーマル時代に対応するためのオフィスリニューアルのポイントは、次の2つです。
①可変性のあるレイアウト設計
ビジネスや時代の変化に柔軟かつスピーディに対応できるように、可変性のあるレイアウトにすることがポイントです。
フレキシブルに使えるレイアウトをつくることで、スペースの有効活用につながります。また、業務内容に応じてワーカー自身が集中できる場所を選択できるようにすれば、生産性の向上も期待できます。
▼具体例
- 用途に応じて使い分けられるフリースペースの導入
- (対面式ソファ席、カウンター席、スタンドテーブルなど)
- 可動式のデスクや仕切りの導入
- プロジェクトの人員変更や増員に対応しやすいフリーアドレスの導入
- 会議やセミナーなど、多用途に使える多目的ルームの導入
②交流を生むスペースの導入
オフィスをコミュニケーション活性化やイノベーション創出の場にするためには、ワーカー同士の交流を促進するスペースの導入がポイントです。
人が自然と集まるスペースをつくることで、新たなアイデアや気づきを得たり、イノベーションの創出を後押ししたりするきっかけとなります。
▼具体例
- オープンなミーティングスペースの導入
- 自然な交流が生まれるカフェやリフレッシュルームの導入
- 終業後に利用できるバーカウンターやジムの導入
まとめ
この記事では、ニューノーマル時代に適したオフィスリニューアルについて、以下の項目で解説しました。
- ニューノーマル時代のオフィスに求められる役割
- オフィスのリニューアルで直面しやすい課題
- オフィスリニューアルの2つのポイント
働き方の多様化が進むいま、オフィスに求められる役割も変化しています。
これからのニューノーマル時代においては、コミュニケーションの活性化、モチベーション向上、付加価値の創出につながるオフィスが求められます。
オフィスのリニューアルを実施する際は、可変性のあるレイアウト設計やワーカー同士の交流を生むスペースの設置がポイントです。費用対効果や機能面、セキュリティ対策についても考慮しながら、計画的なリニューアルを行いましょう。
オフィスのレイアウト見直しをお考えの方は、こちらの記事もご覧ください。