オフィス移転の悩みはコスト? 削減するためのポイントとは
オフィス移転は企業にとって大きなプロジェクトのひとつです。敷金や礼金、原状回復費用や内装費用など、さまざまなコストをできるだけ削減し、オフィス移転をされたい方も多いのではないでしょうか。
しかし、どのような作業にいくら費用がかかるのか把握せずに移転を進めてしまうと、当初の想定よりも費用が膨らんでしまったということになりかねません。
そこで今回はオフィス移転にかかるコストの概要や、それらを削減するためのポイントをご紹介します。
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- 1.オフィス移転にかかるコスト
- 2.退去コストを削減するポイント
- 3.入居コストを削減するポイント
- 3.1.不動産選定フェーズ
- 3.2.オフィス構築フェーズ
- 4.まとめ
オフィス移転にかかるコスト
オフィス移転にかかるコストは、大きく分けて『退去コスト』と『入居コスト』の2つに分類されます。
オフィス移転のコスト削減を目指すのであれば「何に」「いくら」のコストが発生するのかという具体的な内訳を確認しておきましょう。
退去コスト
退去コストに含まれる項目のひとつに原状回復工事費用があげられます。
原状回復工事は、オフィスを借りる前の状態に戻すための工事のことです。居住用の賃貸マンションと異なり、通常損耗により汚れた部分も借主負担で原状回復が求められるケースがあります。
退去予定日までに工事が完了していなければ、遅延した分の追加賃料が発生する場合もありますので原状回復工事の手配は計画的に行いましょう。
また、原状回復工事はオフィス管理会社やオフィスのオーナーが指定する工事会社によって行われることが一般的ですが、特に指定がない場合は借主で工事会社を選定します。この点も事前に確認しておくと安心です。
入居コスト
オフィス移転時にかかるコストの多くを占めるのが敷金や礼金といった入居コストです。入居時にかかるコストには下記項目があげられます。
● 敷金・礼金・仲介手数料など
● 設計費
● 内装工事費
● 電気工事費
● 空調工事費
● 電話・ネット工事費
● 防災工事
● 什器・家具購入費用
● 現場経費
● 引越し費
このうち、入居コストの増減に大きく関わるのは内装工事費や什器・家具購入費用です。オフィスデザインや家具など、こだわりを追求すればするほど、その分だけコストが増えます。
入居コストを抑えつつ、理想のオフィスに近づけるためには移転の目的やオフィス環境の課題を重視したうえで「必要不可欠な部分のみ予算を設ける」「再利用できるオフィス家具はそのまま使い続ける」といったように、予算と一緒に考えながら判断することが大切です。
退去コストを削減するポイント
退去コストを削減するためには、原状回復費を抑えることが重要です。
一般的に事業用途の賃貸オフィスは、借主が原状回復費を負担する契約になっています。賃貸借契約の内容によってどこまで回復義務が発生するのか異なるため、事前に契約書を確認し、不明点があれば管理者に確認しておきましょう。
原状回復には、以下のような作業が含まれます。
● 備品(家具・照明・空調など)の撤去
● 床材(カーペットなど)の貼り替え・塗装
● 壁紙・クロスの貼り替え
● 天井の張り替え
● 増設した壁などの撤去
● 配線の撤去
● 看板の撤去
● クリーニング
原状回復工事を依頼する際、管理会社から工事業者を指定されることもあります。
ただし、工事業者をこちらで選べる場合でも、下手に安く済まそうとすると原状回復に関わる条件を満たせず追加工事になることがあります。
早めに見積りを取ってコスト感を確認しておくことは必要ですが、削減に重きを置きすぎないほうがよいでしょう。
入居コストを削減するポイント
入居コストを削減するためには、物件探しの段階から取り組みます。
入居コストは、移転先のオフィスを決める“不動産選定”とオフィス内部を決める“オフィス構築”のフェーズに分けて取り組みましょう。
不動産選定フェーズ
不動産選定の際は、初期費用や賃料、立地を含め、コスト削減につながる要素がないかを確認します。
立地を検討する
オフィス移転の際は、立地にこだわりすぎずにオフィスを探すこともポイントです。従業員の通勤や外回りの営業などに影響するため、主要駅の近くにある物件は人気が高く、賃料も高く設定されている傾向があります。
しかし、会社への訪問客が少ない場合や外回りの営業が少ないといった場合などは、中心部から少し離れたエリアで探せば賃料を抑えることが可能です。
業務形態や賃料、従業員の通いやすさや交通費など、さまざまな視点から“アクセスのよさ”を物件選びを検討し、立地を決めます。
賃料を交渉する
入居時に支払う敷金・礼金などのコストは、月々の賃料をベースにして計算されます。不動産会社やオフィスのオーナーと交渉して賃料を安く抑えられれば、初期費用・ランニングコストの削減が可能です。
また、不動産会社によって異なる仲介手数料も交渉次第で安くなるケースがあります。気になるオフィスがあるエリア相場を調査し、複数の不動産会社で見積もりを取ったうえで交渉するようにしましょう。
オフィス構築フェーズ
移転先のオフィスが決まったら働き方に合わせて間取りや内装を決めます。
レイアウトやオフィス用品のこだわり過ぎは入居コストが高くなってしまうため、以下のポイントを押さえてコスト削減を目指しましょう。
効率のよいレイアウト・ゾーニングにする
デスクや休憩室の配置、間取りなどレイアウトやゾーニングを工夫することでコストを削減できます。
たとえば、部署ごとにフロアを分けていたのであれば、オフィス移転を機にワンフロアに集約するのも一つの方法です。1ヶ所に集中させることで共用スペースやOA機器などの重複が不要になるほか、内装工事費といったコストも抑えられます。
また、リモートワークやフリーアドレスを導入すれば、1人当たりに必要なオフィス面積や什器数も減らせます。スペースをいかに有効に活用できるかを考えることで、コスト削減に直結するだけでなく、業務効率化の実現も期待できます。
プロジェクトマネジメントやコンストラクションマネジメントサービスを活用する
オフィス移転は、やるべきことが非常に多く、社内の複数の部署や外部の事業者が関わります。そういった場合にはプロジェクトマネジメント(PM)やコンストラクションマネジメント(CP)と呼ばれる専門事業者に依頼することを検討しましょう。
PMやCMに依頼をすると、個別の作業に追われて考える時間を失うことがありません。そのため、全体を見渡してコスト削減にむけた検討を進められます。
検討する際も、専門的な知見を得ながら削減すべきところ、すべきでないところの判断ができ、家具や内装のグレード検討にリソースを費せるようになるでしょう。また、業者やメーカーの見積りを比較して、特徴や金額の理由を確認できるため、コストを抑えながら満足度の高いオフィスづくりが可能になるでしょう。
まとめ
今回はオフィス移転に関わるコスト削減のポイントについてご紹介しました。コスト削減を図るには、移転先のオフィス選定はもちろん、内装設計や各事業者の選定といった計画段階から取り組むことが必要です。
また、コストに関する不安を軽減するために、オフィス移転をプロに任せることも検討します。社内の人的リソースや予算をしっかり把握したうえで、無駄なく計画的に進めましょう。