オフィスの引越しは“準備”が大切。移転前に決めておきたい4つの項目
オフィスの引越しにあたっては、さまざまな準備や手続きが必要になります。
オフィスの移転を考えているものの、「何から始めればよいか分からない」という担当者さまもいらっしゃるでしょう。
業務と並行しながら滞りなくオフィスの引越しをするためには、事前に漏れのない“移転計画”を立てておくことが大切です。
本記事では、オフィスの引越しをする際に、最初に決めておきたい移転計画の立て方について解説します。
目次[非表示]
- 1.移転計画を立ててしっかり事前準備を
- 2.移転計画で決めておきたい4つの項目
- 2.1.1.移転プロジェクトのチーム・メンバー
- 2.2.2.現オフィスの問題点・移転の目的
- 2.2.1.◇オフィスを移転する目的
- 2.2.2.◇現在のオフィスにおける問題
- 2.2.3.◇経営の視点から見た課題
- 2.3.3.新オフィスに求めること・実現させたいこと
- 2.4.4.オフィスの引越しスケジュール
- 3.オフィスの引越しは職場環境を改善するチャンス
移転計画を立ててしっかり事前準備を
オフィスの引越しは、会社にとって大きなイベントです。業務をこなしながらスケジュール通りに進めるには、効率のよい移転計画が不可欠といえます。よく準備せず引越しを進めてしまうと、次のような問題が起こる可能性があります。
- 旧オフィスの退去手続きが遅れ、賃料が重複してしまう
- デザインや間取りの設計に時間が取れず、移転の目的を達成できない
- 新オフィスに必要な設備がそろわず、業務がストップする
- 引越し対応に人手が取られ、業務に支障をきたしてしまう
こうしたトラブルが起きると、追加コストが発生したり、業務遂行に影響を与えたりするケースもあります。
遅延やトラブルを起こさずにオフィスの引越しを成功させるには、「どのような手順で進めるか」を取りまとめた移転計画が欠かせません。
移転計画で決めておきたい4つの項目
自社に適した理想のオフィス環境をつくるためには、「今のオフィスをどう変えたいか」「どのような課題があるか」など、課題や目的を整理することが重要です。
移転計画を立てるときは、以下の4つの項目を決めておくとよいでしょう。
1.移転プロジェクトのチーム・メンバー
オフィスの引越しが決定したら、まずは移転プロジェクトを立ち上げ、チーム・メンバーを決めましょう。
プロジェクトの発足にあたり、あらかじめ「どのような業務が発生するか」、チーム内で作業内容を把握しておく必要があります。オフィスの引越しでは、以下のような作業が発生します。
- 新オフィスの選定
- 現オフィスの解約
- 社内外へのアナウンス
- 新オフィスのプランニング
- 新オフィスのレイアウト作成(依頼会社の選定)
- 工事の依頼
- 引越し業者の選定
- オフィスで使う家具や設備の用意
このチームは、オフィスの選定や各事業者とのやり取りに加えて、社内の経営課題やオフィス戦略をまとめて実行するという重要な役割を担っています。細かな手続きやコスト調整も必要になるため、会社の規模や内容に応じて必要なメンバーを選ぶのがポイントです。
チームメンバーの通常業務が忙しく、移転プロジェクトに手が回らない場合は、業務量の削減やタスクの調整を検討しましょう。
2.現オフィスの問題点・移転の目的
オフィスの引越しを成功させるためには、「なぜオフィスを引越しするのか」「引越しをすることでどのような問題を解決できるか」など、移転の目的や現在の問題点を明確にすることが重要です。
◇オフィスを移転する目的
- 従業員が増えてもパーソナルスペースを十分に確保できるオフィスにしたい
- 通勤しやすい場所に移転したい
- ブランディングや人材採用のために、好立地でおしゃれな場所に移転したい
- 事業継続計画(BCP)のために安全な建物に移転したい
- ビルの賃料を安くおさえたい
◇現在のオフィスにおける問題
- 従業員が増えてオフィスが狭い
- 駅から遠く通勤が大変
- 休憩室やリフレッシュルームが整っていない
- 動線が悪く、業務に無駄が発生している
- レイアウトが悪く、コミュニケーションを取りづらい
- 魅力的な機能やスペースがなく、モチベーションが上がらない
◇経営の視点から見た課題
- 人材採用の観点から魅力的なオフィスとはいえない
- 従業員のコミュニケーションが不足している
- 無駄なスペースがある
- ビルの賃料が利益に見合っていない
- リモートワークや在宅勤務に対応できていない
オフィスの引越しを成功させるためには、プロジェクトのチームだけではなく、経営層の意見や考え、現場で働く従業員のリアルな声を取り入れることが重要なポイントです。現状の問題点を正確に把握することで、理想とする新しいオフィス像が見えてくるでしょう。
オフィス環境の改善は、業務環境の充実や、コミュニケーションの活性化につながります。企業ブランディングの一環として取り組むことで、従業員満足度の向上や人材採用のためのアピールなど、幅広い経営課題の改善も期待できるでしょう。
なお、オフィスの現状分析は、オフィス移転を専門とする事業者・サービスの利用を検討するのも一つの方法。専門家によるヒアリングや多角的な視点からのアドバイスを受けることで、よりよいオフィス環境の構築に役立ち、スムーズな引越しが可能になります。
3.新オフィスに求めること・実現させたいこと
現オフィスの問題点や課題を洗い出したあとは、移転先となる新オフィスに求めること・実現させたいことを具体的に決定しましょう。
機能や見た目に関することだけでなく、「課題を解消するためにはどのようなオフィスが求められるか」「自社のイメージをどのように表現するか」といった、経営戦略の一環として方針を検討しましょう。
検討したいポイントには、以下が挙げられます。
地理・コスト的な視点 |
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ブランディングとしての視点 |
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従業員から見た視点 |
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地理やコストの面をふまえながら、さまざまな視点で魅力的なオフィス環境を考えてみましょう。
働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響によってテレワークを推進している会社は、従業員の座席を全員分用意するよりも、フリーアドレス制のほうが適している場合もあります。フリーアドレスなら執務スペースを削減できるため、カフェやリフレッシュルームなど、従業員の満足度向上につながる設備を導入しやすくなるでしょう。
いずれも、企業のブランディングとしてコンセプトを設計したうえで、従業員にとって望ましい設備・機能を採用することがポイントです。デザイン・レイアウトを専門の事業者に依頼する際は、理想とする働き方をきちんと伝えましょう。
4.オフィスの引越しスケジュール
オフィス移転に関する方針が決定したら、引越しのスケジュール調整を行います。
まずは、移転後の営業開始時期から逆算して、おおまかな行程を決定するところから始めます。その後、各メンバーの必要業務や確認事項、打ち合わせ内容などの細部までリストアップして、プロセスごとの所要日数を検討しましょう。
企業規模によって異なりますが、オフィス移転にかかる期間は半年~1年ほどです。ただし、適切な物件が見つからなかったり、デザイン・レイアウト設計の打ち合わせが長引いたりすれば、スケジュールが延びてしまう可能性もあります。1年ほど前から余裕を持って準備しておくと安心です。
オフィス移転までのおおまかな行程は、次のようになります。
- 移転計画を立てる(※この記事の内容はココです)
- 現オフィスの解約予約・手続き
- 移転先の新オフィスの選定
- オフィスデザイン・レイアウトの検討
- 施工会社と工事の契約を結び、工事開始へ
- 移転に向けた社内・社外対応(挨拶・住所変更手続きなど)
- 引越し業者を選定し、新オフィスへ引越し
また、オフィスの引越しでは、以下のようなさまざまな事業者を選定して、打ち合わせや契約を交わす必要があります。
- 不動産会社(移転先の物件選び)
- オフィスのデザインやレイアウトを担当する会社
- 施工業者
- 引越し業者
オフィスの引越しは、それぞれのプロセスにおいて、専門の事業者を選定・作業調整を行う必要があるため、準備が複雑です。
「オフィス移転に時間をかけられない」「スムーズに移転プランを立てたい」という場合は、オフィスづくりをワンストップで対応できる事業者・サービスの活用も視野に入れましょう。
オフィスの引越しは職場環境を改善するチャンス
従業員が働きやすく、業務効率化やモチベーション向上に寄与するオフィスをつくることは、企業の人材獲得や成長のために欠かせない要素です。
オフィスを引越しする理由はさまざまですが、企業が持つ経営課題を改善し、理想の働き方を実現できるチャンスといえるでしょう。トラブルなくスムーズに移転を進めるために、まずはプロジェクトチームで移転計画を立てておくことが重要です。
とはいえ、オフィスを引越しするとなると、通常業務を行いながらさまざまな作業や事業者とのやり取りが発生します。多岐にわたる作業によって従業員の負担が増えたり、オフィス引越しのプロジェクトチームに十分な人員を充てられなかったりする場合もあるでしょう。
膨大な引越し作業を通常業務と平行して対応するのが難しい場合は、オフィス移転を専門の事業者・サービスを利用するという方法もあります。現オフィスの問題点や課題の洗い出し、新オフィスの計画立案などもサポートしてもらえるため、スムーズにオフィス引越しを進められます。
自社の規模やスケジュール、人員に応じて無理のない計画を立てましょう。